体中に発疹ができる水ぼうそう。成人してからは「帯状疱疹」として再発することがあります

体中に発疹ができる水ぼうそう。成人してからは「帯状疱疹」として再発することがあります

ヘルペス科のウイルスによって引き起こされる病気は様々。特に代表的なものについて簡単にまとめました。


乳児の突発性発疹

幼いときに誰でも発症する病気である「突発性発疹」。唾液中にウイルスがいるので母体を通じて新生児は感染しています。新生児の間は胎盤経由で母体から抗体をもらっているので発症しませんが、血中の抗体が落ちてくる乳児期になると発症して、発熱の後に発疹が出て、自然に治ります。

突発性発疹を起こすヘルペス科のウイルスは複数あり、別のウイルスでも突発性発疹と似た症状が出ることがあるので、複数回突発性発疹と診断されることがあります。突発性発疹は母体からの抗体が落ちて来た証拠なので、突発性発疹の後は様々な感染症を発症するようになります。

口唇ヘルペス

主な症状は口角炎と口の周囲の発疹である単純ヘルペスによる感染症。詳しくは「口唇ヘルペス」サイトをご覧ください。母子感染する代表的なウイルスで、初感染は症状が出ない「不顕性感染(ふけんせい・かんせん=症状の出ない感染)」のことがほとんどですが、まれに発疹が全身に広がることがあります。非常にまれですが成人の再発時に単純ヘルペスウイルスが原因で脳炎を起こすこともあります。

性器ヘルペス

主な症状は生殖器や周囲の発疹です。女性では性周期に伴って症状が強くなることがあります。口唇の場合は症状がある時に伝染性が強いとされていますが、性器の場合は無症状でも十分に伝染力があります。

口唇ヘルペスを起こすヘルペスウイルスと性器ヘルペスを起こすヘルペスウイルスは異なるとされていましたが、二つの単純ヘルペスウイルスはどちらの部位でも感染症を起こすことが判明しています。再発は部位的には性器ヘルペスの方が多いとされています。

水疱瘡(水ぼうそう)・帯状疱疹

水疱瘡と帯状疱疹を引き起こすヘルペスウイルスは同一。初感染のときには「水ぼうそう」、再発時には「帯状疱疹」と診断されます。

水疱瘡は発熱と頭皮の中まで広がる皮疹が主な症状。通常は命に関わらない病気で、皮疹の痕が残ることも少ないため、有効性が高いワクチンがあるのに関わらず日本ではワクチン接種が普及していません。一方、皮膚の再生が強い小児の感染でも、顔にひどい皮疹が出た場合は痕が少し残ることも。成人してからの水痘では皮疹の痕が残りやすい傾向がありま す。

帯状疱疹の主な症状は体の片側の帯状の発疹。 水疱瘡ではウイルスは空気感染するほど伝染力が強いのが特徴です。一方、帯状疱疹では発疹中にはウイルスがいますが、空気感染はせず、接触感染でのみ伝染する可能性があります。加えて、水疱瘡に既にかかったことがある人には伝染しません。帯状疱疹については詳しくは「帯状疱疹」サイトをご覧ください。

伝染性単核球症

ヘルペス科のEBウイルスが原因で起きるのが伝染性単核球症。ほとんどは症状がないため、多くのヒトが自覚のないまま感染していると考えられます。初感染では発熱して全身のリンパ節が腫れたり、急性肝炎に近い状態になったりしますが、通常は自然治癒します。唾液から感染するためキスも感染原因になり、俗に「キス病」とも呼ばれることも。

通常は自然治癒しますが、一部の悪性腫瘍と関係があるとされている発癌性があるウイルスです。

カポジー肉腫

「ヒトヘルペスウイルス8型」が原因となって起きるカポジー肉腫。エイズ以外では特に問題ないとされているウイルスですが、エイズにかかっている人では、カポジー肉腫という非常に稀な腫瘍の原因になることがあります。

サイトメガロウイルスが引き起こす病気

ヘルペスウイルスの中でも多くの人が症状がないまま感染している「サイトメガロウイルス」の場合は、少し特殊。ヒトの一生のうちの感染時期と宿主(ヒト)の免疫状態によって様々な病態として現れます。

妊娠中に母体内で胎児が感染すると、先天性サイトメガロ感染症を発症する事があり、最悪の場合、多数の臓器に感染して細胞内でウイルスが増殖し、「巨細胞封入体症(きょさいぼう・ふうにゅうたいしょう))と呼ばれる先天性の病気を起こすことがあります。先天性サイトメガロウイルス感染症で神経系に障害が起きた場合は、精神運動発達遅滞や聴力障害を起こすことがあります。

出生後の初感染で、発熱やリンパ節の腫れなどの伝染性単核球症に似た病態を取ることがありますが、この場合は通常は自然に治癒します。

骨髄移植や臓器移植後の免疫抑制剤を使っているときは潜伏感染から再発が起きることも。特に重度な肺炎である「間質性肺炎」は呼吸不全の原因となることがあります。再発の結果、結果的に移植した臓器が機能しなくなる場合もあります。

後天性免疫不全症候群(AIDS)のときにも問題となります。特にAIDS患者の失明原因になる網膜症。網膜症はAIDS治療で免疫状態が少し上がったときに悪化することがある厄介な病気です。

母体内感染以外では、抗サイトメガロウイルス用の抗ウイルス剤を投与することが可能です。
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