ジェネリック薬もいろいろあります
十分な治療を受けられなければ合併症を引き起こして、もっと身体的経済的負担が重くなりますが、もともと糖尿病患者は病人ですから社会的に弱い立場の人が多いのです。
ここでは治療効果を下げずにコストを軽減する方法を考えてみましょう。ただし、これらが全てではなく、医療サイドからのアドバイスでもありませんから、あくまでも参考意見としてご理解ください。
どこまで負担できるかを医師に告げよう
医師は患者の懐具合までは分かりません。しかし医師に治療費が困難なことを相談すれば道は開けますよ。日本でも国民の貧困率が15.7%と発表されました。この人たちがインスリン治療が必要になると、生活をかなり圧迫するようになります。ちなみに当ガイドの個人的な医療支出としては糖尿病関連だけで年間20万円の自己負担(3割)があります。合併症はありませんが進行した2型糖尿病なので、高価なインスリンペンを全部で9本/月使います。別にスタチン(高コレステロール薬)とARB(高血圧薬)、中性脂肪も高いのでエパデール(魚油)などを服用しています。
3割負担なので国保から年間46万円もの補助を受けていることになりますから、高齢社会の中で糖尿病患者が急増しているのは社会にとっても大変な重荷になりますね。
2004年のアメリカの研究では成人の糖尿病患者の19%が経済的な理由で医師に報告せずに薬を中断したり、散発的に服用したりしていました。これらの人の1/3は医師にお金の相談をしていなかったのです。患者は費用を減らす方法があることをぜひ知っておいてください。
通院の回数を少なくする努力を!
インスリン治療の人は在宅医療のコストが1回の診察で5,000円位の余分な自己負担が生じますから、診察の回数を減らすことがとても大きなコストカットになります。日本では理不尽なことにインスリンを自分で注射する許可を得るために診察の度に自己注射指導料の名目で高額なお金を払うのです。世界に類を見ない制度ですから外国人には絶対理解できないものです。ですから私は3ヵ月に一度の診察にしてもらって、薬の処方も3ヵ月分にしています。
これで毎月通院と比べると6万円の自己負担が軽減できました。ただし、コントロールが悪いと医師はOKを出さないかも知れません。まずベストコントロールを実現する。そして毎月通院から開放されることです。
薬の見直し・ジェネリック薬品の活用
インスリンは化学薬品の合成ではなく、生物(大腸菌や酵母)を使って遺伝子組換えの高度な技術を用いて作るものですからまだジェネリックはありません。経口薬の多くはパテントが切れていますからジェネリック薬品があります。たとえばSU剤のオイグルコン(2.5mg)は一錠151円ですが、同薬のジェネリックなら61円からあります。SU剤は既に安いものですが、それでも6割も安いものがあるのですし、毎日服用する薬ですから医師に相談してみましょう。アメリカでは機序の異なる薬を1錠に合わせてコストや飲みやすさを容易にする合剤が進んでいます。たとえばビグアナイド薬をインスリン抵抗薬やSU剤などと一錠に組み合わせています。日本ではまだでしょうが、間違いなく合剤は2錠分よりも安くなります。
私は血栓防止のための低容量のアスピリンの代りに市販のアセチルサルチル酸(つまりアスピリン)を分割して使うことがあります。
薬によっては高容量の錠剤とその半分のものと、あまり価格が違わないことがあります。日本ではあまりメリットがないかも知れませんが、欧米では錠剤を半分に割ることもコスト削減の選択肢であることを知っておくのも無駄ではないでしょう。医師に相談しましょう。
諸外国では国境を越えると薬価が違うことを利用することが出来ますし、インターネットで処方薬を入手することも可能です。でもこれらは危険な行為なので絶対に勧められません。また、処方薬の費用が苦しいのにテレビでおなじみの高価なサプリメント(健康食品)を取っている人もいるそうです。医師に費用の相談をするときは、飲んでいる薬やサプリを持参して最良の選択をしてもらいましょう。