きれい好きになってしまった原因の一つとして、18ヶ月~3歳頃までのトイレ訓練の時期に排泄の欲求を我慢し過ぎたという事があります |
三つ子の魂、百までと言いますが、人の性格の基礎は子供時代に作られます。整理整頓をきちんとできる人は子供の頃からきちんとしていて、反対に、いつも部屋が散らかっている人は、子供の頃もやっぱり散らかしっぱなしだろうと想像できますが、その違いのルーツは生後18ヶ月~3歳頃までのトイレ訓練の乗り切り方にあると言えば、ちょっと意外ではないでしょうか。
今回は、生後18ヶ月~3歳頃までのトイレ訓練の時期がその人の性格にどのような影響を与えるか、時にはどんな心の病気に関連してくるのかを詳しく述べます。
生後18ヶ月~3歳頃…肛門期の特徴
精神医学の大家ジークムント・フロイト(1856~1939)は性的発達段階の理論の中で、生まれてから大人になるまでの心身の成長過程を5つの段階に分けました。人はその段階を一つずつクリアーして成長していくわけですが、いつも問題なくクリアーできるとは限らず、時には、ある段階で問題が生じてしまう、(心理学の用語で)固着が起きる事があります。ある段階で固着してしまうと、その時点で心の中に生じた葛藤を後々まで引きずってしまい、成人後の性格へ影響が出て来ます。生後18ヶ月~3歳頃までの期間は性的発達段階の肛門期に相当します。肛門期は性的発達段階の最初のステージである口唇期の次の段階ですが、この時期の幼児の大きな課題の一つはトイレ訓練でしょう。幼児は排泄を自分の好き勝手ではなく、トイレに行くまで我慢するという事を覚えなくてはなりません。性的発達段階の理論によると、肛門期の幼児の最大の課題は排泄の欲求への対処であり、その対処において何らかの葛藤が心の中に生じて、肛門期に固着してしまうと、成人後、肛門期性格が強く現われてきて、時には心の病気が生じる事もあります。次に、肛門期性格の特徴を詳しく述べます。
肛門期性格の特徴…几帳面v.s.乱雑
18ヶ月~3歳頃までの肛門期の幼児にとって、排泄には快楽をもたらすと共に我慢すべき時は我慢しなくてはならないという2つの要素があり、排泄は自分でコントロールする人生最初の活動でもあります。自分でコントロールできるという点が幼児の心に強くアピールするのか、時には、わざとお漏らしをしたり、トイレで排泄すべき時に我慢してしまうといった事があるでしょうが、親から厳し過ぎる躾などが原因で肛門期に固着してしまう事があります。フロイトの性的発達段階の理論によると、肛門期の固着には2つのパターンがあります。排泄の欲求をそのまま発散させていた場合、成人後、乱雑でいい加減な性格に、反対に、排泄の欲求を我慢し過ぎていた場合は成人後、几帳面できれい好きな性格や完ぺき主義に結びつきやすくなります。この傾向が日常生活に支障が出る程、強くなり過ぎてしまった場合が強迫性人格障害、強迫神経症といった心の病気であり、心理療法、薬物療法などの治療を受ける事が望ましくなります。
ところで、肛門期をうまく乗り切れたかどうかは3歳頃までの事なので自分では覚えていないでしょうが、一体、トイレ訓練の時期はどうだったか今の自分と合わせて考えてみるとおもしろいかもしれません。例えば、もしも、自分がいつも散らかしっぱなしの人だったら、ご両親にトイレ訓練の時期にどうだったのか聞いてみると今の自分に納得できるかもしれませんが、散らかしっぱなしを直すには再度、訓練が必要でしょうね。