家の目につかない場所に盗聴器が置かれていないか? 疑念に正当な根拠がある場合もありますが、非合理的思い込みで妄想に近い場合は心の病気の可能性も出てきます
最初は、「ばかばかしい、盗聴器なんかあるはずがない」と思っても、疑念が度を越すと、なんとなく周りの様子が変で、自分の秘密を知っているかのように感じられたり、盗聴器を探しても見つからないのに、「盗聴器が仕掛けられている!」と確信してしまうようになってしまいます。
皆さんは、身近な人の疑心暗鬼が度を過ぎてしまったら、どう思うでしょうか?
「疲れているので、少し休んだほうがよい」
「ノイローゼではないのか?」
「何かあぶない薬でもやっているのでは……」
いろいろと心配になると思いますが、「お医者さんに診てもらった方がよいのでは?」という意見は、意外とあまり出てこないようです。
上記のような症状が、「心の病気」的に、どういうものかを簡単に説明いたします。
事実に反した思い込み……妄想(もうそう)
上記の例では、「盗聴器が仕掛けられている」と事実に反した思い込みがありますね。このように、現実に反した事を思い込んでしまうことは、妄想(もうそう)と呼ばれます。妄想の内容には、「悪い病気にかかっている」、「みんなが悪口をいっている」、「夫が浮気をしている」 等、いろいろな種類がありますが、今回のケースは、盗聴器によって自分が狙われているといった妄想なので、心の病気的には被害妄想に分類されます。妄想自体は心の病気?
しかし、妄想があるからといって、短絡的に心の病気とは限りません。妄想には、その人の属する文化、生活環境が大きく影響します。例えば、「地球は平らである」と信じることは、現代では妄想でも、中世においては、「地球は丸い」と信じることが妄想でした。このような妄想は、心の病気ということにはなりません。それでは、どのような妄想が心の病気に見られるのでしょうか?
落ち込んだときに、「自分はくだらない、生きる価値のない人間である」と思い込んでしまったり、反対に気分が高揚したとき、「自分は偉大な人間で、世界を変えることができる」といった誇大妄想が出ることがあります。また、覚醒剤を使用してしまったときにも妄想が現れる事があります。
妄想と言っても色々種類があるので、何の心の病気であるかを知るには、妄想以外の他の精神症状がどうであるかが重要です。
妄想のみならず、それが声として聞こえる場合
「盗聴器が仕掛けられている」と信じるのみならず、もし実際に、それが声として聞こえてくるなら、幻聴といって、重要な精神症状です。10~20の若い年齢で、急に気分が落ち込み、家に引きこもりがちになったら、統合失調症が疑われます。
もし、疑念が度を越すような症状を見たら精神科に相談してみましょう。