妄想は心の調子がかなり悪くなっているサインです |
心の病気でいう「妄想」とは、普通に考えればありえないようなことを、現実のことだと固く信じてしまうことで、心の病気の代表的な症状の一つです。心の調子がかなり悪くなった時に出現します。内容によって、被害妄想、誇大妄想、心気妄想、罪業妄想などに分けられます。詳しくお話しましょう。
ドーパミンが活発になることで起きる妄想…治療法は?
人の心の問題は、多くの場合、脳内の神経伝達物質が関係しています。例えば、うつ病の発症には、神経伝達物質の1つであるセロトニンの不調が関与しています。妄想の出現時には、セロトニンではなく、ドーパミンと呼ばれる神経伝達物質の働きが活発になっています。妄想の治療にはこのドーパミンの働きを抑える抗精神病薬が用いられ、妄想のコントロールによく効きます。次によくある妄想の内容のパターンを紹介します。
妄想の分類
■被害妄想「見張られている」、「盗聴されている」など、他者からの悪意によって被害にあっていると思い込む
■関係妄想 「テレビのニュース番組を見ていたら、ニュースキャスターが自分に特別なメッセージをしらせた」など、自分とは無関係な事を自分に結び付けてしまう
■注察妄想
他人から注目されている、観察されていると思い込む
■嫉妬妄想
パートナーが浮気していると思い込む
■被毒妄想
飲食物に毒を入れられたと思い込む
■盗害妄想
物を取られたと思い込む
■心気妄想
悪い病気に罹っていると思い込む
■貧困妄想
財産を失ってしまったと思い込む
■罪業妄想
自分は罪深い存在で皆に迷惑をかけていると思い込む
■誇大妄想
「自分は特別に選ばれた人間である」というように、自己の能力、地位、財産などを不合理に過大評価してしまう
被害妄想は主に統合失調症で見られます。また、躁うつ病のそう状態で気分が高揚した時には誇大妄想が、反対にうつになり気分が落ち込むと心気妄想、貧困妄想、罪業妄想が出現することがあります。特に、うつ時にみられるこれらの妄想は自分を自殺にまで追い込んでしまう危険があります。妄想があるという事は心の調子がかなり悪くなっているサインですので、精神科(神経科)を早めに受診するようにしましょう。