砂漠を歩いていると蜃気楼が現れることがありますが、もしも日常生活であるはずのないものが見えたら錯覚か幻覚かの区別が重要です
砂漠を歩いていると蜃気楼が現れることがありますが、もしも日常生活であるはずのないものが見えたら錯覚か幻覚かの区別が重要です
見えるはずの無いものが見えたことはないですか? 夏の怪談によくありますが、幽霊を見たというような科学的ではない話を聞くことがあります。

酔っ払っていたのかもしれませんし、単に何かを勘違いしたのかもしれません。もしかしたら、非科学的にせよ幽霊が本当に現れたのかもしれません。「ないはずのものが見えた」ということは、ちょっとした勘違いなのか心の病気かの境目の現象です。今回はこの微妙な「幻覚」の考え方についてお話します。

幻覚症状とは別! 日常的に起きる「錯覚(イリュージョン)」

「幽霊だと思ったら、実は木の枝だった」というよなな錯覚はよくあります。錯覚は疲れている時や眠気の強い時など、意識がぼんやりしている時に起こりやすく、誰でも経験しうる事です。

実際、人間の知覚は勘違いを起こしやすいものです。だまし絵や、2つの同じサイズの図形を並べると一方が他方より長く見えるといった仕掛けで、「錯覚」という現象を楽しんで体験した人も多いと思います。

自然現象でも、あるはずのないオアシスが目の前に見えるといった、砂漠の中の蜃気楼などの錯覚が起こります。蜃気楼は砂漠以外の場所でも現れることがあるようなので、幽霊は蜃気楼だった可能性もあるかもしれませんね。しかし、本当に何もない所にはっきりと幽霊などの非現実的なものが見えたとしたら、どうでしょう?


五感が正しく機能しない「幻覚(ハルシネーション)」

実際にはないものが見えたり、聞こえたりする「幻覚」は、上記の錯覚と一緒にしてはいけません。確かに、眠る前の朦朧とした時間に何かが見えた気がしたり、身近な人が亡くなられてショックを受けているときに、死んだはずの人の声が聞こえるといった、一時的な幻覚は病的意義のない場合もありますが、継続的に症状が続くのは、軽く見ては危険な病的な「幻覚」です。

幻覚は視覚だけでなく、人間の五感である視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚のすべてに起こり得ます。多くは脳に問題があり、幻覚の生じる原因には脳内の神経伝達物質の一つであるドーパミンの異常が関与していると言われています。幻覚の見られる病気には以下のようなものがあります。
  • 統合失調症(幻聴が特徴的)
  • てんかん(特に、脳の側頭葉に原因がある場合)
  • 薬物中毒(覚醒剤中毒の場合、虫が体を這っているといった体感幻覚がしばしば見られます)
  • 薬物からの離脱症状(急に薬物の使用を中止した際に起きる心身の症状)
  • 脳腫瘍
  • 脳炎 
もしも、何も無いところに幽霊が見えた時は幻視で、脳に問題があった可能性があります。もしも、幽霊の話し声まで聞こえたとしたら、幻聴も併発していることになりますので、すぐに精神科(神経科)で相談することをオススメします。

また、以前イギリスで、2つの同じ図形を比べて、一方が他方と異なっていると錯覚するかどうかを統合失調症と一般の人の2グループに判断させる実験がありました。統合失調症にかかると現実と非現実の境界を見失いやすいので、一般の人より錯覚を起こしやすいのではと予想されましたが、結果は統合失調症のグループの方が錯覚することなく、2つの図形が同じと区別できた人が多かったのだそうです。こうした事を科学的に説明するためにも、統合失調症には、まだまだ解明すべきことが残されています。
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