理想のリフォームを少しでも安く手に入れたいという思いは理解できますが、度を過ぎた値下げ交渉ではトラブルを誘発します。 |
今回はいつもと少し目線を変えて、リフォーム業者の方々から聞いた「こんな客は値引きしたくない」という話を参考に記事をまとめました。金額を積算する側の本音を参考にして、少しでも有利な価格交渉ができるようにしましょう。
プランがなかなか決まらない優柔不断はNG
リフォーム専業の会社に勤めるAさんは、今日も施主との打ち合わせに出かけていきました。この施主は、築20年の家について相談に乗って欲しいということで、打ち合わせが始まってからすでに9回目の訪問です。施主が予算内でできるだけ家族の要望を満たすプランを作りたいというので、あれこれ悩むことを繰り返し、なかなか工事内容が決定できずにいました。そしてやっと、Aさんは練りに練ったプランをついに作り上げ、今日こそ施主に納得してもらえるのではという期待を胸に打ち合わせに臨みました。
ところが今回、過去の打ち合わせで却下されたはずのプランが再び浮上したり、家族の要望が急に変わったりと、やはり今回も話はまとまらず、挙句の果てには以前Aさんが提案したプランを再び持ち出し、このプランで予算内に収まるよう値引きをして欲しいという話も出てきました。
しかしAさんは、値引きをしてしまうと大きく工事原価を割り込んでしまうことに加え、ここで値引きをしたとしても、工事の途中でまた変更になるかもしれないと考え、やんわり値引きを断りながらこう伝えました。「家族の要望がまとまり、予算にゆとりが出てきてから、リフォームを検討した方がいいんじゃないですか?」
結局この後、Aさんがこの施主と打ち合わせをすることはありませんでした。時々Aさんの家の前を通りますが、相変わらずリフォームした形跡はありません。きっと家族間の意見もまとまらず、リフォーム業者にも敬遠されているのかもしれません。
「見積り無料」は業者の好意であることを認識すべし!
良心的な業者であればプランを強引に押しつけることなく、できるだけ施主の要望をかなえようと必死に対応してくれるものです。 |
リフォームはその工事内容が多種多様で、現場ごとに工法が違ったり、対応が異なったりするため、プランや見積りを作るだけでも結構な労力がかかっています。プランの度重なる変更は、これらの営業担当者の努力を一瞬にして無駄なものに変えてしまう恐れもあるため、「見積り無料」という言葉に安易に甘えて、むやみにプランを変更するのは考え物です。
リフォームは頻繁にできるものでもありませんから、慎重になる気持ちもわかりますが、かといっていつまでもプランが決定しないのは、施主だけでなくリフォーム業者も苦痛であるということを知っておきましょう。万が一、プランを大幅に変更する、あるいは何度も変更する可能性がある場合は、業者に最初から正確な見積り書を求めるのではなく、概算見積り額を提示してもらい、プランが固まってから正式な見積り書をもらうようにすれば、お互いに負担が少なくなるでしょう。
次のページでは、業者の弱みに付け込もうとして、信頼関係を壊してしまった事例についてご紹介します。