そのような変更や追加の発注において、注文主(施主)側の発想と業者の事情で大きな差があり、そのことが追加費用における金額トラブルを招いているのですが、一体どのような部分に問題が多いのでしょうか。今回は、リフォームの追加費用でトラブルになりやすい事例と、トラブルにならないための対策についてご紹介します。
壊さなければわからない補修の程度・範囲
傷み具合は築年数などからある程度推測しますが、やはり実際に見てみないと判断できない部分も多いものです。写真はリフォーム現場で発見された腐食箇所の様子。構造材が腐ってボロボロになっています。
一般的に建物の築年数や使用頻度、そして現場調査における周囲の状況から推測して工事内容を検討することになるのですが、相見積りで最安値の業者を選定した時に発生しやすいトラブルとして、通常なら想定される補修工事が含まれておらず、工事中に「追加工事(の費用)が必要」といわれて慌ててしまうというケースがあります。
「プロが作った見積りだから工事に漏れがないはず」と施主が思っているのに対し、このような場合の業者は「施主が価格重視と言っていたから、最低限の工事内容しか見積っていない」と考えているのです。このようなトラブルを防ぐために、打ち合わせの時には想定される追加工事があるのかどうか業者に事前に聞いておき、総合的な工事費用を考慮して業者を選定するようにしましょう。
ついでに頼む棚や造作家具はタダじゃない!
リフォームではほとんどの場合施主が在宅していて、大工さんたちの様子が比較的見えるものです。てきぱきと工事を仕上げていく職人さんたちを見ていると、「ついでにここに棚を作って」とか「ここも直して」というように、頼みたくなってしまうものです。ここにも施主と業者の考えの違いがあります。施主は「ついでに頼んだ」と思っていても、業者からすれば「仕事を受注した」と思っています。職人さんは自分が工事をすることで工事費を稼いでいる訳ですから、施主からタダ(あるいは限りなく安く)で頼まれているとは思っていません。
こうなると、全てのリフォーム工事が終わって請求書が届いた時に、「あれ?この工事って有料だったの?」なんてことになり、しぶしぶ追加費用を払うことになりかねません。「ついで」とは言っても追加工事になるのですから、職人さんやリフォームの営業担当者に費用のこともじっくり相談した上で発注するようにしましょう。
廃材の処分は家庭用ゴミと違い割高
リフォームの見積りには「廃材処分費」等といった廃棄物の処理費用が提示されていることがほとんどです。工事で取り外した床材や壁材などといった廃棄物を業者が持ち帰って処分する費用のことです。しかしここに施主と業者の事情にギャップが生まれます。一般的に家庭用ゴミは、大きな袋に入れて地域のゴミステーションに出すだけですから、さほど費用はかかりませんが、工事業者が排出する廃棄物は「産業廃棄物」として処理しなくてはならないため、処分コストが結構かかります。
工事中に「ついでにこっちの不用品も持って行って」などと頼んだ場合、業者からすると工事で発生する廃材とは異なり、家庭用のゴミとして別途ゴミ処理を手配しなければならず、しかも建物内からの搬出には職人さんの人件費が掛かっているため、施主が考えている以上に処分費用がかさむのです。
家庭用ゴミで処分できるものは、あらかじめ自分で処分しておけば余計な費用もかからずに済みますが、やむをえない事情で処分を業者に依頼する場合は、事前に見積りをもらってから発注するようにした方がよいでしょう。
「サービス」が「無料」を意味するとは限らない
職人さんと何気なく交わした一言で金額トラブルになることも…。基本はプロの技術に対価が生じていることを忘れずに、必ず見積書を作成してもらうことがトラブル回避の鍵です。
「サービス」という言葉が、「無料」という意味にも「割安」という意味にも用いられるため、施主と業者で誤解が生じ、金額のトラブルに発展するケースがあります。
追加で工事を依頼したり、仕様を変更してもらう時には、すぐに見積り書を提示してもって、「無料」なのか「有料」なのかを明確にしてもらうようにしましょう。
誤解が思わぬ出費につながる
工事の最中に変更が発生しやすいというのがリフォームの特性です。想定外の事態が発生した時の対処方法などについても、事前に業者と打ち合わせをしておけば安心ですし、このようなことをあらかじめ説明してくれる業者であればより安心と言えます。相見積りで最安値の業者を探すことに集中してしまうと、上記のような追加費用で慌ててしまうこともあると思いますので、金額と施工・見積り内容のバランスの取れた業者を選定するようにし、想定外の費用を極力削減するようにしましょう。
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