子宮筋腫/子宮筋腫の基礎知識

子宮筋腫の治療判断・薬物治療

子宮筋腫が発見されても、全ての人が治療しなければいけないわけではありません。どんな時に治療が必要なのか、薬で治療する場合はどのような治療法があるのか詳しく説明していきましょう。

清水 なほみ

執筆者:清水 なほみ

産婦人科医 / 女性の病気ガイド

子宮筋腫で様子見で大丈夫な場合

ピルは筋腫の過多月経にも有効です

ピルは月経コントロールや避妊だけでなく、筋腫の過多月経にも有効

子宮筋腫が発見されたからといって、必ずしも治療が必要とは限りません。症状も全くなく、大きさも10cm以下で妊娠も望んでいない場合、通常は半年~1年に1回超音波検査で大きさの変化を見るだけで済みます。

どんどん大きくなっている場合や、急激に大きくなった場合は、途中で手術を勧められることもありますが、閉経までただ定期検査を受けるだけという人も少なくありません。筋腫は女性ホルモンを餌にして大きくなっていくので、閉経までは大きくなる可能性があります。しかし閉経後は大きくなることはなく、むしろ徐々に縮んでいくので、閉経まで持ち越せれば、それ以降治療が必要になることはめったにありません。
 

治療が必要な子宮筋腫

筋腫で治療が必要になるのは、主に次のようなケースです。
 
  1. 過多月経や月経痛の症状がひどい場合
  2. 大きさが大きい。またはどんどん大きくなっている場合
  3. 大きさが大きく、圧迫による症状がひどい場合
  4. 妊娠を望んでいて筋腫が妊娠の妨げ、または流産や早産のリスクになる場合
 

過多月経や月経痛がひどい場合は、まず薬物療法

1の場合、まずは薬で出血量のコントロールができるかどうかを試し、有効であれば薬物療法だけで様子を見ることができます。薬物療法はピルで出血量を減らす方法と、「偽閉経療法」という月経を止める方法があります。

ピルはタバコを吸わない健康な女性であれば副作用もほとんどなく長期間飲み続けることができるので、出血量のコントロールだけなら非常に有効。ただ人によってはピルを飲んでもあまり出血量が減らなかったり、ダラダラと不正出血が続くこともあるので、ピルを試しても結局手術が必要になるというケースもあります。

偽閉経療法は、その名の通り薬で女性ホルモンの働きを抑え、人工的に「閉経」の状態を作る方法です。月経が来なくなるので出血量で困ることもなくなり、閉経後に筋腫が縮むのと同じように多少筋腫が小さくなります。ただしまだ閉経ではない時期にいきなり女性ホルモンが出なくなってしまうので、のぼせやほてりなどの更年期症状が出たり、骨がもろくなってしまうといった副作用があります。長期間使うと骨粗鬆症のリスクが高まるため、偽閉経療法の薬は半年以上続けて使ってはいけないことになっています。

そのため偽閉経療法の場合は通常は、閉経まであと1~2年という人が閉経まで何とか手術をせずに持ち越したいときか、手術前に多少筋腫を小さくしておいて手術をしやすくしたいときに使うことが多いです。長期間続けて使えないため、20代や30代で偽閉経療法を行うのは、よほど貧血がひどくてとりあえず月経を止める必要がある場合か、手術を前提とした場合に限られます。

 

子宮筋腫で手術が必要になるケース

上記の2~4に当てはまる場合はいずれも手術が必要。手術の方法は「子宮筋腫の手術療法」で詳しく解説します。また、最近は筋腫を栄養している血管を詰まらせる「子宮動脈塞栓術(しきゅう・どうみゃく・そくせんじゅつ)」や、MRIを見ながら高周波の超音波を集中させて筋腫に当てる「高周波超音波集積治療」などの新しい治療法も出てきています。

どうしても手術以外の治療法を選びたいという場合は、これらの治療を行っている病院で治療が可能かどうかを相談してみるといいでしょう。


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