腎臓・膀胱・尿管・尿道の病気/膀胱炎・尿道炎

膀胱炎・尿道炎の症状・診断

膀胱炎の典型的な症状は、排尿後の痛みと頻尿と尿の濁りの3つ。尿道炎は排尿時の痛みと膿の2症状が特徴です。膀胱炎も尿道炎も診断には尿検査と細菌の培養検査を行います。

後藤 百万

執筆者:後藤 百万

泌尿器科医 / 腎臓・膀胱・尿管・尿道の病気ガイド

膀胱炎の症状 

膀胱炎になると頻尿になり、トイレに行く回数が増えることも……

膀胱炎になると頻尿になり、トイレに行く回数が増えることも……

急性膀胱炎の典型的な症状は、排尿後の痛み、頻尿、尿の濁りの3つ。これら3つの症状に加えて発熱がある場合には膀胱炎ではなく、腎盂(う)腎炎が疑われます。

■排尿後の痛み
細菌性膀胱炎の場合、排尿する前や途中ではなく排尿後に激しい痛みが起こります。排尿に伴って膨らんでいた膀胱が収縮し、炎症を起こしている膀胱の粘膜を刺激するためです。ズキッとした痛みで尿道や恥骨の奥に痛みを感じることもあります。

間質性膀胱炎の場合は、膀胱に尿が溜まったときに痛みを感じます。「骨盤痛」といい、局所的ではなく骨盤内のいろいろなところに痛みを感じます。

■頻尿
尿が近くなる症状。特に水分をとっていないのに30分から1時間おきくらいにトイレに行くようになります。

炎症によって膀胱の神経が絶えず刺激されるため、常に尿意を感じる状態が続きます。トイレに行く回数は増えますが1回あたりの排尿量は多くないのが特徴。

■尿の濁り
正常な尿が無色透明か淡黄色であるのに対し、膀胱炎にかかっているときの尿は濁っています。炎症を起こした膀胱の粘膜の分泌物や剥がれ落ちた粘膜、排出された白血球などが混じっているためです。

炎症が進んで充血した毛細血管が破れて尿に血液が混じることも。間質性膀胱炎の場合には尿の濁りは起こりません。

膀胱炎の検査法・診断法

膀胱炎の診断は話だけでも見当がつきますが、一般的には尿検査と採取した細菌の培養検査で確定診断を行います。

■尿検査
尿検査では肉眼的な尿の観察に加え、尿検査用のテストテープを用いて尿の混濁、血尿の有無などを検査。さらに顕微鏡検査で、白血球や血尿、細菌の有無や程度を確認します。診断結果は当日分かります。

採尿時は、特に女性は尿道周囲にある膣からの分泌物などが混じりやすいので、出始めの尿を捨ててその後の中間尿を採取して検査に用いることが大切です。

■細菌の培養検査
原因となった菌を確定するために行う細菌の培養検査。併せて細菌にどんな抗生物質が効くかを確かめる感受性試験を行います。結果が出るまで数日かかります。

尿道炎の症状 

尿道炎の典型的な症状は、排尿時の痛みと膿の2つ。

■排尿時の痛み
膀胱炎と違い排尿時に痛みを感じます。膀胱炎の女性が排尿時に痛みを感じる場合、同時に尿道炎を起こしている可能性があります。

■膿の排出
淋菌性尿道炎やクラミジア性の尿道炎の場合は、痛みと同時に尿中に膿が出ます。一般的に淋菌性尿道炎の場合は黄色から褐色、クラミジア性の場合には白っぽい膿が出るといわれています。

尿道炎の検査法・診断法

膀胱炎と同様、尿検査と細菌検査を行います。尿検査の内容は膀胱炎にと同様です。

■細菌検査
淋菌性尿道炎の場合は膿を染色して淋菌の有無を顕微鏡的に検査。培養して丹念に調べることもあります。

■PCR検査

淋菌性かクラミジア性かを判断する一種の細菌検査。採取した尿のDNAを増幅して検査するPCRという装置を使い、簡単に検査することができます。
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