内科的な病気
腎臓内の主な疾患
■腎炎から腎不全へ
腎臓に起きる炎症を腎炎といいます。腎臓の細菌感染(腎盂腎炎など=後述)や毒素によって引き起こされるもので急性と慢性とがあります。
内科的疾患によって、腎機能が低下し、一定の水準を超えると腎不全に至ります。尿量が減少し、尿毒症状を呈する急性腎不全と、長い時間をかけて腎機能が徐々に低下する慢性腎不全とに分かれます。
■初期症状はあまりない慢性腎炎
腎臓の炎症性疾患には、急速進行性腎炎、慢性腎炎、糖尿病性腎症、膠原病による腎症、腎硬化症などがあります。
急性腎炎はいきなり血尿が出て体中に浮腫が認められるような症状を呈します。慢性腎炎はじわじわと進むので、その原因が糖尿病であれ、膠原病であれ、症状が大きく異なることはありません。
従って、慢性腎炎特有の自覚症状はあまりなく、尿検査の異常で発見されることが多いようです。尿にタンパクが出たり、血尿が出たりといった尿の所見から始まります。それ以外は、基本的に無症状です。
病状が進行すると、血中のクレアチニンの数値が上がり、いわゆる腎不全症状をきたします。疲れやすくなり、むくみが現れるようになります。腎実質の破壊によって腎機能が低下した状態であり、糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎、嚢胞腎などの末期に起こります。
感染症
■尿を溜める腎盂に炎症が起きる腎盂腎炎
感染症の代表的な病気は腎盂腎炎です。大腸菌などの細菌によって腎臓の中にではなく、尿を溜める腎盂に炎症が起こって腎臓に波及するものです。
感染経路は細菌が尿道から膀胱、尿管へと逆行して腎臓に及ぶ(逆行性感染)場合が多く、他の感染部位から細菌が血流に乗って腎臓へ運ばれる場合(血行性感染)もあります。急性腎盂腎炎になると、悪寒や高熱、腎部の痛み(背部痛)などを伴います。
■その他の主な感染症
・腎膿瘍
血行性感染により、腎実質内に膿瘍(膿が溜まり袋状になったもの)を形成したもので、急性腎盂腎炎に似た症状を呈し、発熱、腰痛などを伴い、全身状態が悪化します。
・膿腎症
感染症が尿路閉塞に長く続いた状態です。腎機能が低下する一方、拡張した腎盂に膿が溜まった状態となります。腎盂腎炎と同様の症状を示します。
・腎周囲炎、腎周囲膿症
腎実質による炎症の波及や血行性に、腎周囲に炎症が起こる状態です。
腫瘍
■腎実質性腫瘍
多くの腫瘍と同様、良性と悪性に区別されます。腎臓の悪性腫瘍にはがん、肉腫などがあります。一方、腫瘍のできる部位よって、腎実質性腫瘍と腎盂腫瘍という分け方もあります。最も頻度の多い悪性腫瘍では、腎実質性腫瘍として腎細胞がん、腎盂腫瘍として腎盂がんがあります。
以前は、腎細胞がんの主要症状は(1)血尿(2)腹部の腫瘤触知(できものが触れる)(3)背部痛とされていましたが、最近は超音波検査やCT検査の普及により、症状がなく、健康診断や他の病気の検査時に偶然発見されることが多くなっています。
このほか、進行した腎細胞がんでは、貧血や発熱、陰のう内精索静脈瘤(陰のう内に怒張した静脈を触れる)が見られることもあります。
■腎盂腫瘍
腎盂や尿管の粘膜から発生する腎盂がんは多発する傾向が強く、腎盂や尿管のみならず、膀胱にも発生することがあります。
主な症状は血尿で、目で見て分かる程度(肉眼的血尿)のこともあれば、一見尿は赤くないが検査用の試験紙で分かる程度の血尿(尿潜血)の場合もあります。尿管の腫瘍により腎臓から膀胱への尿流が妨げられると腎臓が腫れて(水腎症)、背部痛みが出現することもあります。
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