膀胱炎の原因・メカニズム
膀胱炎は膀胱内部に侵入し、繁殖した細菌が起こす炎症
炎症を起こす原因はいくつかありますが、一般的には大腸菌等の「グラム陰性桿菌(かんきん)」などの細菌が尿道口から膀胱に侵入することで発症します。
通常は膀胱に大腸菌が侵入しても尿と一緒に流されるため、すぐに炎症につながることはありませんが、長時間排尿を我慢したり、膀胱に大量の尿を溜めたままでいることで発症リスクが上がります。膀胱の内部にまで細菌が侵入した際に、尿中の豊富な栄養物を餌に細菌が一気に繁殖してしまうためです。疲れやストレスで膀胱粘膜の抵抗力が弱っている場合は、さらに炎症を起こしやすくなるので注意が必要でしょう。
■急性膀胱炎と慢性膀胱炎
膀胱炎には、発症の経過が短く症状が比較的高度な急性のものと、症状は比較的経度で経過の長い慢性のものがあります。
一般的な膀胱炎は大半が急性で、排尿のたびに激しい痛みを伴います。放っておいても数日で治りますが、抗生物質を適切に服用すればより早く症状が治まります。
慢性の場合は、糖尿病や前立腺肥大症などの基礎疾患が原因となる膀胱炎がほとんどで、急性のような症状は見られません。急性膀胱炎から慢性に移行することはまれ。
■原因不明の間質性膀胱炎
慢性膀胱炎の1つに間質性膀胱炎がありますが、原因はまったく分かっていません。細菌性の急性膀胱炎のように膀胱の粘膜だけの炎症では済まず、膀胱壁全体に炎症が及びます。男女を問わず起こりますが、こちらも基本的には女性に多い病気です。
尿道炎の原因・メカニズム
尿道の粘膜や尿道壁で起こる炎症である尿道炎。原因、メカニズムの大部分は膀胱炎と同じです。細菌が尿道の出口から尿道に侵入し、尿道内で炎症を起こすことがほとんど。細菌性の膀胱炎を起こしている女性は、尿道炎を合併していることがあります。■主に性行為で感染
膀胱炎は女性がかかりやすいのに対し、尿道炎は比較的男性に多い病気。尿道炎には性感染症の側面があるからです。
原因となる細菌で多いのは淋菌。淋菌が原因の場合は「淋菌性尿道炎」といいます。クラミジアという微生物によるものは「非淋菌性尿道炎」といいます。どちらも性行為感染症で、通常、女性の膣内にいる淋菌やクラミジアが性交によって男性の尿道に入ることで尿道炎を起こします。
■性行為感染症の感染ルート
淋菌性尿道炎もクラミジアを中心とする非淋菌性尿道炎も、性交渉を介して感染するルートがほとんど。さまざまな症状を自覚できる男性に対して、女性の場合は無症状であることが多いため、感染に気づかず、妊娠時の検査で分かるケースが多いようです。
■女性は子宮などに感染
尿道炎は一般的に男性の病気といわれていますが、女性の場合は細菌が膣や子宮や卵管に入って重篤な炎症を起こすことも。いずれも自覚症状がないケースが多いため、パートナーの男性が尿道炎と診断された場合は、速やかに検査を受けることが大切です。