親知らず抜歯のリスク・普通の歯の抜歯との違い
親知らずの抜歯は、普通の歯の抜歯に比べ次のような理由からややリスクは高いのが一般的です。
■ 位置的問題
器具が到達できなければ抜歯できない。親知らずは口の奥の部分にあるために手前の歯、頬の粘膜、骨などが邪魔になって普通の歯よりも麻酔も抜歯も難易度が高い。
■ 視覚的要素
抜歯が必要になる親知らずは、顎の骨に歯が隠れていることも多く、歯茎を切ったり骨や歯を削ったりの作業が必要になることも。目で直接見えない場合、鏡による確認や感覚による抜歯が必要となる。
■ 歯の形態
親知らずは、普通の歯より退化傾向にあるため、抜歯しにくい複雑な形をしてい場合があり、歯の凸凹が骨に引っかかり抜きにくいことも多い。
親知らずといえども特別な構造や材質でできている訳ではなく、普通に生えている歯とほとんど同じです。そのため普通の歯と同じように生えている場合には、同じように抜歯できることもあります。
親知らず抜歯後に起こりやすい出血・腫れ・痛みなど
親知らずの抜歯後に良くあるトラブルは次のようなものがあります。■ 出血が続く
抜歯当日にときどき見られる。口の中の出血は唾液で薄まり、実際の出血以上の血液がどんどん出てくるように見えるもの。少量であればそのままでも心配ないが、気になるようであれば、清潔なガーゼやティッシュなどをロール状にして圧迫止血する要領で抜歯部分の粘膜に挟み込み10~20分程度噛むようにする。
■ 腫れる
親知らずは、抜歯後の穴が大きく、粘膜を縫い合わせて傷口を塞ぐ必要があることが多いため、内部の圧力が高まるなどして腫れることがある。個人差が大きく、全く腫れないこともある。1~2週間程度かけて少しずつ落ち着くのが一般的。
■ 口が開かない
歯茎や頬の粘膜部分が腫れることがあり、腫れがあごの関節の動きを妨げたりするため、だんだんあごが開きにくくなる。安静にしていれば腫れの消失とともに次第に開くようになる。
■ 術後の痛み
通常でも抜歯後2~3日は痛みが出ることがある。薬などを服用して痛みを抑えるのが一般的だが、1週間程度痛みが続くような場合は一度病院で相談を。
■ 縫合した糸が取れる
抜いた後に傷口を縫合した場合、通常1週間待って抜歯する。しかし、1~2日目で縫った歯茎の部分が腫れて糸が取れてしまうことも。この場合は縫い直さず、様子を見ることがほとんど。
■ ドライソケット
抜いた後穴の内部の骨が、かさぶたの役割をする血の固まりで十分に覆われない状態が続き痛みが長く続く。下の親知らずの抜歯後、2~4%程度の人に起こるといわれている。軟膏状の薬で保護したり、再び内部を刺激したりして治癒に2~4週程度かかる。
傷口を綺麗にしておくために頻繁にうがいをしたり、抜歯後の穴の内部を洗い流そうとすることは治癒を遅らせる恐れがあるので逆効果です。
■ 周囲が麻痺する
ごくまれに下の親知らずの抜歯の際に骨の内部の神経に傷が入ることがあり、舌や顎が片側だけ麻痺することがある。一般的には抜歯の操作のミスより、はじめから親知らずの根が湾曲し、神経を巻き込むように生えているため起こることが多い。回復までの時間は数日から数年かかることもある。
抜歯後は薬などが処方されるのが一般的です。抜歯行為は歯の周囲の細菌が傷口から体に入り込み、血管を伝わって全身に流れていく可能性があります。そのため抗生物質などは痛みが落ち着いても途中で止めることなくしっかり飲みきるようにしましょう。
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