そもそも歯磨き粉は使った方がいいの?
歯磨き粉を使うなら、自分の目的にあう物を選ぶ目を養いましょう
使う・使わないは個人の自由ですが、せっかく歯磨き粉を使うのならば、その成分がもたらす効能を理解して、自分にあった歯磨き粉を選ぶ楽しみを持って歯磨きをしていくことをオススメします。
歯磨き粉の成分と効能
歯や歯ぐきに役立つ成分として考えられている主なものを紹介します。■硝酸カリウム
ちょっと聞き慣れないので怖い感じがするかもしれませんが、歯の知覚過敏を抑え、しみるのを抑えるために使われる成分。ホワイトニング後の知覚過敏予防にも使われます。知覚過敏を防ぐ歯磨きの中に5%ほど含まれていることもあります。
■フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム
昔から虫歯予防に効果があると言われている成分。歯のエナメル質表面密度が高くなり固くなるため、虫歯菌が出す酸によって歯が溶かされにくくなり虫歯予防に繋がります。濃度は国の基準で上限が定められています。
■炭酸カルシウム
歯の表面の汚れを落とす研磨剤。研磨剤が全く入っていないとステインなどの着色汚れが落ちにくくなります。表示もなしに歯の傷付けるほど大量に入っていることはあまりありません。
■過酸化尿素
ホームホワイトニングに使われる物と同じ成分。外国製の歯磨きでときどき見かけます。効能はこれだけでホワイトニングするというのではなく、ホワイトニングした歯の維持のために使われることが多いようです。
■トリクロサン、 チモール
虫歯や歯周病菌の炎症予防などの殺菌成分として配合されています。
■サリチル酸メチル
歯ぐきなどの炎症を抑える消炎作用があります。
■ユーカリプトール
樟脳(しょうのう)のような臭いがします。歯肉炎などの炎症や痛みを抑えたり歯肉炎防止成分として配合されています。
ホワイトニングはほどほどに! 歯磨き粉の研磨剤問題
患者さんから、「歯磨き粉は歯が削れるから……」 という声を耳にすることがあります。しかし歯が削れる原因が歯磨き粉の研磨剤のせいとは限りません。研磨や摩耗は物と物が擦れあえば何らかの形で起こります。擦れ合うものの環境によっても大きく変わってくるのです。たとえば歯ブラシの先端形状、固さ、押し付ける強さ、動かし方。さらに、歯磨き時間、歯磨き時の口の中の水分量、食後から歯磨きまでの時間、飲食物の酸性度。唾液中の成分、噛み合わせからのダメージなどなど。
歯が削れてしまう心配をしている人は、歯磨き粉の成分だけでなく、道具や環境をトータルで考えなくてはなりません。普通に歯ブラシを使って磨く行為も、歯の表面のプラークやバイオフィルムなどを機械的に削り落としていることになります。
ヤニや汚れ落しのための研磨剤が多めに配合されている歯磨き粉には、「週1回まで」など、きちんと利用目安の表示があるので説明書を良く読むようにしましょう。歯の表面の着色や汚れが気になる人は、研磨剤を上手に使って、歯本来の白さを保ったり、被せものなどの表面の着色落としに役立てましょう。