多発性硬化症(MS)の診断法

近年、進歩が著しい画像検査技術は多発性硬化症の診断の一助になっている。とくにMRI検査は病巣をするのに描出するのにきわめて有効な検査である。

近年、進歩が著しい画像検査技術は多発性硬化症の診断にも有効。特にMRI検査は病巣を描出するのにきわめて有効な検査です

症状が多岐のため診断が難しい多発性硬化症。医師である私たちがこの病気を疑うのは、
  • 医学的に一つの神経の病気では説明がつかない場合
  • 患者さんの自覚症状がよくなったり悪くなったりする場合
です。そのため多発性硬化症の診断には、詳しい病歴を聞くことから始まります。自分の症状をまとめたメモを作っておくと医師に伝わりやすいので、不安な症状がある人は、自覚症状の程度や日時などのメモを可能な範囲ででも準備することをお勧めします。

多発性硬化症の症状は、数日で消失し、次に症状が現れるのが数日後や数年後になることも。1回の受診だけで多発性硬化症(MS)と診断するのは極めて困難です。実際の診断では、下記のような検査を組み合わせて総合的に判断することが重要となります。
 


■神経学的検査
歩き方、眼球の動き、視力、目の見える範囲のチェック、発声、飲み込みの異常、記憶力、筋力などを診察する。

■MRI
近年のMRI技術の発展により、病巣が細かく見つかるようになりました。しかし脳梗塞などの病気と間違えやすいので、造影剤を使ってMRIを撮影することも。造影剤は肘の静脈から注入するのが一般的。造影剤を注入することによりかゆみや発疹などの副作用がでない訳ではありませんので、アレルギー体質の方は事前に相談しましょう。

■脳脊髄検査
頭蓋内にある髄液を腰から採取して検査します。その際には局所麻酔を行いますので痛みはあってもわずかです。入院する必要はなく、検査後30分から1時間程度休めば帰宅できます。その髄液には炎症を起こしている証拠が発見されることがあり、オリゴクローナルバンドと呼ばれる所見が認められることがあります。

■電気生理学的検査
手の神経に細い針を刺して電気刺激を与えたり、細かい音を聞かせて脳波を測定して、神経から脳へ伝わるスピードを測定します。もし、神経の伝わるスピードが低下していれば、多発性硬化症(MS)を疑います。

多発性硬化症(MS)の治療法

多発性硬化症の治療は、「病状の悪化を防ぐこと」「病状の再発を防ぐこと」「病状を抑えること」の3つのステージで考えます。

■病状の悪化を防ぐこと
この時期には入院して、炎症を抑える働きをもつステロイド薬を点滴で投与します。3~5日投与した後に内服薬に切り替える場合も。ステロイド薬の副作用として細菌などへの抵抗力が減ったり、骨がもろくなったり、肥満傾向になったりしますが、多発性硬化症の症状を軽減することができるため、有効な治療法です。

■病状の再発を防ぐこと
残念ながら、再発を完全に防ぐ薬はありません。しかし再発率を低下させる薬があります。それはインターフェロンβという薬で、注射で投与します。現在では、病院に行かなくても自宅で注射できるので入院の必要がなくなりました。

■病状を抑えること
現在、悩んでいる症状を抑える薬を投与することも大事です。しびれが強いなら抗けいれん薬、筋肉が固くなるなら筋弛緩薬、排尿困難があるなら膀胱機能改善薬を投与します。ふらつきが強かったり、手足が動かしにくい場合はリハビリテーションを行い、スムーズな日常生活を送れるよう訓練をします。
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