パーキンソン病とは
パーキンソン病とは、筋力が保たれているのにも関わらず、体が思うように動かなくなってしまう病気です。この病気は脳の「黒質(こくしつ)」という場所から出るドーパミンという物質が出にくくなるために神経細胞の連絡がうまくいかず、体が動きにくくなるのです。パーキンソン病の原因
残念ながら、パーキンソン病の原因はまだはっきりとわかっていません。加齢による遺伝子の損傷や神経細胞のミトコンドリアの異常などが考えられていて、さらなる研究の結果が待たれます。パーキンソン病の症状
パーキンソン病の主な症状は、筋肉が振るえ(振戦)、筋肉が固くなり(筋強直)、自由に動きにくくなること。体のバランスが悪くなり、倒れやすくなることがあります。症状の進行はゆっくりで、普通は数年から数十年かけて立ち上がったり、歩きにくくなっていきます。その他に、自律神経の機能が低下するために、便秘、低血圧、排尿障害、発汗障害、性機能低下がおこります。また、気分が沈み、うつ状態になったり、あるいは認知症と間違われたり、幻覚が見えたりして落ち着かなくなることも。そして、多くの患者さんは寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなるので、日中にうとうとしてしまいます。
代表的な症状について、以下で具体的に説明します。
■ ふるえ
手の震えは規則正しく、じっとしている時出現するのが特徴。動かしている時には手が震えません。ですから、手が震えていても、食事をしたり、楽器を演奏したり、字を書いたりする時には不便を感じない患者さんが多いのです。
■ 無動
パーキンソン病の患者さんは動作が遅くなり、スムーズな動作が出来なくなってきます。椅子から立ち上がったり、ベッドから起き上がったりする事が苦手になるので、どんどん運動量が減ってしまいます。浴槽をまたぐ事が出来なくなってくるので、入浴するときには転倒しないように配慮をしてあげましょう。
■ 姿勢反射障害
身体のバランスを崩しやすいことを言います。立ち上がったり、振り返ったりするときにとくに注意が必要です。歩行の姿勢も特徴的で、前かがみに歩くようになり、歩幅が小刻みになり、急に止まれなくなります。そのせいで転んでしまうと、足の骨を折ったりして寝たきりになったり、大事な頭を思いっきりぶつけてしまうことがあるので、自宅内の段差を少なくしたり、手すりをつけたりして、安全な日常生活がおくれるようにしましょう。
■ 顔面の変化
パーキンソン病になると、手足の動きだけではなく顔の動きも悪くなるので、表情が硬い険しい顔になります。あたかも能面をかぶったような無表情になり(仮面様顔貌)、口をあまり動かさずに早口でしゃべるようになるので話が聞き取りにくくなります。また、喉の動きがわるくなるので、唾液を飲む事ができなくなりよだれをたらすことも。
■ 便秘
パーキンソン病では、6割から8割の方が便秘を自覚しています。これは、パーキンソン病による運動不足が主な原因と考えられますが、薬の副作用の場合もあります。海藻類、きのこ類、イモ類など食物繊維が豊富な食事をしたり、便秘薬や浣腸をうまく使用して生活をしましょう。
■ 睡眠障害
眠りに関する問題は、比較的多くの患者さんが訴えます。とくに、寝つきが悪くなったり、朝早く起きてしまうという訴えが多いです。また、睡眠中に大声を出してしまうことも。しっかりとした睡眠が取れないため、日中にうとうとしてしまうことがありますが、30分以上の昼寝は逆効果で、余計に夜に眠れなくなります。こういった場合は、睡眠薬をうまく使ってでもぐっすり眠る事が大事なので病院で相談しましょう。
■ 精神症状や物忘れ
パーキンソン病の患者さんは、やる気がなくなったり、集中力が低下して物忘れを気にしたり、疲れやすく倦怠感を訴えるようになったりすることがよくあります。ときには幻覚や妄想が見えて、周りの人たちをビックリさせることも。パーキンソン病が原因のこともありますが、身体が動かないことに対する不安、今までできたことができなっていく不安のよる心理的なストレスが原因の場合があるので、一緒に生活しているご家族の対応が重要になります。
うまく動けない、身体の自由がきかないと悩んでいる時に、安易に励ましたり、出来ないことを指摘するのは止めましょう。ゆっくり休養することが大事であることを説明し、心が落ち着ける環境を作ってあげて下さい。そして、できたことを一緒に喜んであげることが大事です。それでも落ち着かないときや自殺をほのめかした場合は、薬物治療が必要なのですぐにかかりつけ医と相談してください。
パーキンソン病の検査
パーキンソン病は身体が動かしにくくなる病気。徐々に身体能力が低下してしまい、日常生活に自由にできなくなってきてしまいます。ですから、安全に生活するために、治療だけでなく家族の温かいサポートがとても重要です。
パーキンソン病の診察を受けるときには、今まで感じた症状をメモ書きにしておいたり、体の動きを携帯電話やホームビデオで録画しておくと、診断の助けになります。最近は、心臓の交感神経機能を調べるMIBG心筋シンチグラフィーという検査がありますが70%くらいの患者さんにしか異常が認められません。また、この検査は特殊な機械を用いる検査なので、検査を受けられる施設が限られています。