手軽に受けられる血液検査。しかし内容や目的を正しく理解できている人は少ないのが現状
病院や検診センター、献血ルームなどで、比較的受ける機会が多い血液検査。医療機関にもよりますが、一昔前と異なり、現在は血液検査の結果を本人に渡すケースがほとんどのようです。
とはいえ、見慣れない成分名と数字がずらりと並んだ用紙を渡されても、読み方がわからず困ってしまうもの。私も医学生時代に初めて血液検査の結果表を見たときには、内容が全く理解できず焦ったことがあります。
もちろん今は各検査項目について、インターネットなどを使って簡単に調べることも可能。しかし、場合によっては重大な病気の可能性があるなどと書かれていて、やみくもに不安になってしまう人もいるかもしれません。まずは血液検査の目的と活用法について、正しく理解しましょう。
血液検査の目的
血液検査の目的は大きく分けて2つ。1つは体に大きな異常がないかどうかをざっと見る「スクリーニング」が目的。もう1つは、症状の程度や治療の経過を見るのが目的です。
定期健康診断などで行われるスクリーニング検査では、主に以下の項目をチェックします。
- 貧血の有無
- 肝臓や腎臓の機能は正常か
- 全身の栄養状態を示すタンパク質やアルブミンの値
- 高脂血症、糖尿病などメタボリックシンドロームに関わる項目
献血の時は、肝炎などの感染症についてもチェックが行われます。発熱や腹痛、全身倦怠感などの症状があるときや、生活習慣病やがんなどの病気の治療中に行う血液検査の場合、各症状や疾病に合わせて検査の範囲を広げます。
つまり毎回同じように採血している血液検査は、毎回同じ項目をチェックするわけではなく、受信者や患者さんの状態に合わせて検査の内容が変わるのです。
血液検査の正常値
血液検査の結果が正常範囲内にあるかチェック。しかし「正常値」についても正しい理解が必要
この正常値はもちろん重要な値ですが、気をつけるべき点が2つあります。
まず、正常値は大多数の方には当てはまるものの、個人差がある場合もあるということ。一桁違う、といった明らかに大きな差がある場合は別ですが、正常値から多少外れていても個人差として考えてもよいケースも少なくありません。
もう1つは、正常値の範囲内だから心配ない、正常値を外れているから病気だ、と単純に考えないこと。大切なのはそのときの数値ではなく、むしろ前回、前々回の検査結果と比べて変化がないかを見ることです。現在は正常値の上限であっても、過去何回かの検査を比較してどんどん上昇傾向になっているのであれば、注意が必要。また、正常値の上限を上回っていても、過去の結果と比べて下降傾向にあるのであれば、治療や日常生活の心がけの効果が出ていると考えることができます。
つまり、血液検査の結果を見るときには、正常値はもちろん、その傾向を見ることが重要なのです。まずは上記を参考に、お手元の血液検査の結果を見るようにしてください。