/薬の基礎知識

専門用語解説「副作用」 あまり触れられないお話

副作用のお話し、と言うとちょっとビックリしてしまいますか?でも、お薬を使う上でどうしても考えておかなければならない事も事実です。

執筆者:赤堀 一仁


副作用のお話し、と言うとちょっとビックリしてしまいますか?我々医療現場でも、患者さんに対するこうした説明にはとても慎重に対応しています。

でも、お薬を使う上でどうしても考えておかなければならない事も事実です。まずは基本的なところから押さえていきましょう。

薬の主作用と副作用について
副作用というのは、アメリカ食品医薬品局の定義によると「疾病の予防、診断、治療または生理的機能を変化せしめる目的で、人体に通常使用される量で、人体に有害で意図しないもの」の事をさしています。

お薬の主な働きである主作用を評価するいろいろなデータをみると、70%の人に主作用の効果があったとすると、かなりよい薬になります。それに比べて副作用の発現率を見ると5%もあったら注意した方がいい副作用として判断します。つまり、薬を使って考えられる主作用の効果と副作用の起きる確率は別物、という事です。

繰り返しますが大切な事は、副作用のお話しを聞いたからといって「私にも副作用がおきてしまうのではないか?」と不安になる必要はありません

あなたの判断でお薬を止めると、それまで続けてきていた治療が無駄になってしまったり、病状が悪化してしまったりする事があります。医師の判断なしにお薬を飲むのをやめる事は基本的にはおすすめできません。もし心配になりましたら、とりあえず次の一回分のお薬を飲むことをお休みして、その後どうするのか、処方した医師など医療機関に相談しましょう。

副作用?中毒?
さて、その副作用ですが、ちょっと専門的な角度からその働き方を考えると、実は別の働きによるものが隠されています。専門家の間で「中毒症状」と判断しているものです。

中毒という言葉は意味を取り違えられやすく、テレビ中毒やゲーム中毒のような、なにかにとりつかれている事を表すように使われがちですが、実際は違います。改めて説明すると「体が、外から取り入れたものによって生体が機能障害を起こした状態」の事を言います。きのこ毒やフグ毒もこれに含まれますが、薬の場合には、「適正に使う量を超えて使ったときに現れる生体反応」の事です。一般的に使われる量を超えて体に入り、安全なはずの薬が毒になってしまい、生体に牙をむいた状態の事をさしていいます。

薬の適正量
薬の適正な量には個人差があります。ある程度は体重や換算表などで判断できるようになっているのですが、お酒に強い人と弱い人がいるのと同じように、遺伝子レベルでの違いなどによりそれぞれのお薬についても効きやすい人と、そうでない人がいるのは事実のようです。それなので、例えそれが目的とした反応であったとしても、思わぬところで薬の効果が強く現れてしまう事があるのです。

副次反応
これとは別にもうひとつ、副次反応というのがあります。主作用の結果として起こるもので、ある程度必然的に起きる事は中毒と同じです。

次のページでは具体例をあげて解説してみましょう。⇒
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