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不妊症治療薬(排卵誘発剤)と副作用

不妊症治療薬で最も使われる排卵誘発剤、クロミッドやセロフェン、HMG-HCGの仕組みや副作用について解説してまいります。

執筆者:池上 文尋

今回のクローズアップは不妊治療に欠かせない薬についてお話を進めて参ります。不妊症治療薬といえば排卵誘発剤。一時期、5つ子ちゃんなどで有名になりましたが、副作用が怖いという印象を持たれている方も多いかもしれません。排卵誘発剤には下記のようなものがあります。
PCO

経口排卵誘発剤クロミッド、セクソビッド、フェミロン、セロフェン
HMGヒュメゴン、hMG-フジ
FSHフェルティノームP
HCGプロファシー、HCG持田


1)内服薬(クロミッド・セキソビッド)

クロミッドはまず不妊症治療の最初に投与される薬剤です。内分泌的な理由やその他原因があまりないと思われる初期治療の場合に選択されます。月経周期約3~5日から飲み始めて5日間服用致します。この薬はエストロゲン(女性ホルモン)の拮抗薬で、体のホルモンのフィードバック機構を活用して排卵を促進するという機序を持つものです。

ですから、3~4周期使ったら、それ以上は子宮内膜が薄くなったり、子宮頚管粘液が減るので逆に妊娠しにくくなります。これは、エストロゲンが子宮内膜や子宮頚管粘液の産生に関連しているからであり、それをブロックしてしまうこの薬剤のデメリットになっています。だからこの薬剤を半年以上飲み続けることはナンセンスですのでご注意ください。


2)HMG(FSH)-HCG療法の仕組み

この中で最もよく使われるのがHMG-HCG療法といわれるものです。人間の脳下垂体前葉から分泌されるFSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体形成ホルモン)の働きを、外から注射することにより強化するものです。

HMGはFSHの働きを持ち、卵巣内の卵胞を育成させます。そしてHCGは卵胞から卵子を出す刺激、LHサージの働きのために投与されます。これらの薬剤を投与して、内分泌の働きを調整しながら、いい卵子を生み出していこうという治療法です。

最近の投与方法は以前と比べて非常に多彩です。先生によっては患者さんごとにその処方内容が違います。テーラーメイドセラピーです。よって多胎やOHSS(卵巣過剰刺激症候群)といった副作用もかなり減ってきております。


3)HMG(FSH)-HCG療法の副作用

HMG-HCG療法の副作用で最も怖いのがOHSS(卵巣過剰刺激症候群)です。場合によっては重症化して卵巣が腫れ、20cmぐらいになり腹水がたまることもあります。しかし、不妊を専門にされている先生にとってはよくわかっている副作用なので、きちんと自分の体の状況を伝えておけばまず大丈夫です。

OHSSは専門の先生によると、副作用ではあるけれど、妊娠しやすい状態でもあるとのお話です。OHSSの起きるぎりぎりのところまで卵巣を刺激することが、妊娠への近道なんだそうです。だから不妊症治療においてあながち悪いとばかり言っていられないのです。
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