/薬の副作用・薬害・麻薬問題

専門用語解説「ドーピング」 こう読む!ドーピングニュース(2ページ目)

前編では、一般的なドーピング基礎知識をお送りしました。今回お送りする後編では、関連ニュースをピックアップし、薬に関する解説を加えながら実践編としてお送りしてまいります。

執筆者:赤堀 一仁

NEWS
ポジティブの波紋
1988年ソウル、92年バルセロナのオーストラリア五輪代表選手で、92年には決勝にも残った男子円盤投げの、ウェルナー・リーテラー選手(32)が出版した著書、「ポジティブ(陽性)」で自らがドーピング(禁止薬物使用)をしていたと告白しました。そしてそれには、五輪の関係者が関与、検査で発覚しない方法まで伝授されていたとつづっています。
バルセロナ五輪の後、一度は引退したリーテラー選手は、再び、地元の五輪で代表の座を目指した過程で、最初は筋肉増強剤、ついでヒト成長ホルモン(hGH)を使用したという事のようです。

解説
国が組織ぐるみでドーピングに関与していた可能性がある、という暴露話です。ドーピングは選手個人が忌み嫌っていたとしても、その選手の成功によって恩恵を受けられる組織などが、選手自身には知らせずにドーピングを企む事も考えられるということです。信頼していたスポーツドクターが実は・・・なんてことも考えられるということです。タンパク同化作用を持つ薬物を食品に混ぜることは簡単にできてしまいます。選手がいくら気をつけていても計画的に薬物を投与されていた、という可能性はありえます。
また逆に、重大な怪我や病気をしてもドーピングを考えると、医薬品としての薬の使用に一部制限が発生してしまう事も心配されます。

NEWS
アメリカ製栄養補助剤、実はこんな、、
栄養補助剤の多くがアメリカで作られ、そのうち20社近くの企業がソルトレークのあるユタ州に集中しています。94年、ユタ州選出の上院議員が、こうした企業からの献金をバックに、栄養補助剤を薬事品ではなく食品として認可する条例制定に成功しました。更に条例では、「主成分以外は表記する必要がない」ことまで定めているようです。現在では、補助剤の専門店までお目見えし、インターネット販売も盛んになって利用者も多いようです。

解説
この記事は、栄養補助食品として分類されている製品でさえもドーピングチェックに該当する可能性があるので注意しなければならないことを伝えています。薬として認められると、体に対する効き目がある事を製品の特徴にして販売できるのに対して、製造品質の確保や流通に規制がかかり、マーケットシェアが狭まる事になります。一方栄養補助食品として分類されると、体に対する効果を付加価値にできない代わりに様々な規制が緩やかになり、購入対象が広がり、製品が身近に存在する事でたくさん売れる、という事になります。

アメリカの医薬品に関する法律は日本より比較的緩やかです。従って日本では医薬品に相当する物が、アメリカの栄養補助食品に含まれている可能性があるのです。こうした製品を日本で販売するには正規の輸入業者が存在して、そこが品質や薬としての効果、安全性などを責任もって薬事審査などをクリアさせますが、個人で購入した場合にはこの限りではないので注意が必要です。
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