飲む中絶薬の注意!

from FDA、厚生労働省
米食品医薬品局(FDA)は、「のむ中絶薬」として知られる「RU486」(一般名ミフェプリストン:mifepristone)で、深刻な細菌感染や破裂型子宮外妊娠、敗血症による死亡例が報告されたとして、薬への警告表示を強化すると発表しました。2000年の承認以来アメリカでは医師の処方薬として使われていますが、手術が必要なほどの大量出血が一部で報告されたため、今回の措置となったようです。


日本では
未承認の薬

卵黄ホルモンのプロゲステロン(progesterone)受容体をブロックする作用のあるステロイドホルモンに分類されるミフェプリストンは、乳がんや子宮ガンなど女性の病気の治療にならないか研究開発がすすめられた結果、妊娠を維持できなくさせる事による人工中絶薬として製品化されたようです。

1980年にフランスで、ラッセル・ユクレフ社(Roussel Uclef)によって開発されたこの薬は、中絶反対グループと、人口問題を懸念するグループの世界規模での論議を呼びながらも、フランス、中国(1988)、イギリス(1991)、スウェーデン(1992)などで認可され、ついに2000年にアメリカで承認されてきました。

日本では未承認ですが、個人輸入で服用した女性が出血などで手当てを受けた例が報告されるなどして、厚生労働省は医師の処方がなければ個人輸入できないよう規制を強化したり、健康被害につながるような違法な流通をする、インターネット販売業者の摘発を要請したりする措置を取っています。

インターネットなどで個人輸入されているおもな製品の名前にはミフェプリストン、RU-486(開発コード)、ミフェプレックス、ミフェジン、息隠などがあるようですが、成分だけが混入する製品も流通する事が考えられるので、関連するような製品の個人輸入は避けた方がいいでしょう。

妊娠と薬の関係

妊娠という状態は、ふだんの時とは違うホルモンのバランスで保たれています。薬によっては使い方を誤ると、予期しない流産につながってしまう事もありえます。逆に考えると、中絶の薬を作ろうと思えばこれまでもできたのですが、薬としての存在自体が問題となる事が考えられこれまで作られてこなかったのだと思われます。

そこで問題となる事は「この様な製品が存在し個人輸入で簡単に入手できてしまうこと」ではないでしょうか。実際に使われているアメリカでは使用するための条件が厳しく設定されていたり、もし何かあった時には医師に連絡するようになっていて使用にあたっては充分な確認と厳しい管理が必要です。今回の厚生労働省の注意は「インターネットなどによる個人輸入」の段階を押えている事になります。

いずれ日本でも
承認されるのでしょうか?

個人輸入による健康被害が報告され、比較的早く承認されたED治療薬のように今回も厚生労働省が迅速な対応を見せるのでしょうか?

あくまで個人的な予想ですが、今回は薬としての承認はないでしょう。それは、この薬はどこで作られているのか、どのくらい販売されているのかという情報が不透明と言われている事から考えられます。もしこれが本当だとすると、日本での承認は無理(他の国が承認されている事が不思議)ですし、その前に社会的な問題をかかえていて、ED治療薬のような生活改善薬としてのカテゴリとしても承認されるかどうか微妙といえそうです。

別の薬ですが、人工中絶薬は日本でもひとつだけ承認されたものがあります。もちろん病院での使用が原則の製品ですが、薬による人体への影響やその効果に対する社会的な影響が大きく、使い方は慎重にされなければならない事、規制がないと乱用につながる恐れがある、などの理由で厳重に管理され、その管理は医療用麻薬のそれに匹敵するかそれを上回るほどです。

薬としては違うものなので全く同じとは考えられませんが、これらの薬は人体への影響が大きい事、そして社会的や倫理的な問題もあり、簡単に手に入る状況は好ましくありません。人工中絶という事が母体へも大きなダメージを与える事があることをよく知っていただいて、これらの薬は厳重な管理のもとで使われる必要があることを知っておいてください。

その上で、倫理的な問題や世界的な人口増加の問題を考えてゆかなくてはならないと思います。そしてもし、このような薬が必要とされるとしたら、この薬より安全になる方法はないのか、という事も考えないといけないポイントになります。

【関連リンク】
個人輸入される経口妊娠中絶薬(いわゆる経口中絶薬)についてfrom 厚生労働省
飲む中絶薬とはfrom AllAbout女性の健康
Mifeprex(mifepristone) Informationfrom FDA
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