癌(がん)/がんの基礎知識・ステージ・転移

がんが転移するってどういうこと?(2ページ目)

日本人の死因の1/3が悪性新生物(がん)。今回は「がんが転移するってどういうこと?」についておとどけします。

山田 恵子

執筆者:山田 恵子

医師 / 女性の健康ガイド

がんが転移するってどういうこと?

がんはもともと、肺がんなら肺の正常細胞から発生しますし、子宮がんなら元は子宮の正常な自分の細胞が変化したものです。つまり、当たり前のようですが、最初は肺がんは肺にあり、子宮がんは子宮にあります。

ところが、がんが大きくなったり、勢いが強くなったりすると、がん細胞は血液やリンパ液といった体を循環するものに乗って、最初がんができた場所ではないところに流れ着き、そこで増え続けます。たとえば、「肺がんが肝臓に転移する」ということは、「肺がん=肺の細胞から発生して、肺で大きくなったがん」が「肝臓に流れ着いて肝臓のなかで増殖している」ということです。

つまり転移したがんは、場所は肝臓にあったとしても、もともとの肺がん(これを原発巣といいます)の特徴を備えています。ですから、例えば効果的な薬物療法も原発のがんに準じて行うことになります。さらに、例えば胃がんや大腸がんは肝臓に転移しやすいといったように、それぞれのがんには他の臓器との相性があります。

余談ですが、がんの転移の仕方として、上に挙げた経路以外に、播種性転移(がん細胞が腹水や胸水に散らばってお腹や胸のなか全体に広がる)という形があります。

治療は抗がん剤による治療、放射線療法、外科手術(転移したがんをとってしまう)などがあります。どれを選択するかは原発がんの種類や大きさ、転移した場所、患者さんの状態になどによって変わります。

=================
今回はがんの転移という、非常に怖いお話をお届けしましたが、日本人の死因の3人に1人ということで、やはり知っておく必要があると思います。
特に子宮頚がんに関しては、検診が有効だといわれています。自分の体に気をつかって、大事にしてくださいね。

・でも、実際がんになった人に対して、お医者さんはどんなことを考えているのでしょうか?それを解説したガイドの新刊『生命の羅針盤 -医師である娘が末期がんの父を看取るとき』はこちら。


*関連おすすめINDEX*
  • 子宮「頚」がんと子宮「体」がん
  • 子宮頚がんについて教えて!
  • がん・がん予防
  • 生理不順/生理痛
  • 子宮筋腫/子宮内膜症
  • 子宮がん/乳がん
    • 前のページへ
    • 1
    • 2
    ※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
    ※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
    免責事項

    あわせて読みたい

    あなたにオススメ

      表示について

      カテゴリー一覧

      All Aboutサービス・メディア

      All About公式SNS
      日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
      公式SNS一覧
      © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます