癌(がん)/がん検診・PET検査

がん発見の強い味方!話題のPET検診とは(2ページ目)

PET検診と言っても、ワンちゃんの検査ではありません。がんのスクリーニング検診として人気が高い検査です。多くは10万円以上する高価な検査でもありますので、中身をちゃんと知っておきましょう。

狭間 研至

執筆者:狭間 研至

医師 / 癌ガイド

なるほど! 簡単! PET検診の原理

PET検査の原理
PET検診の原理は、ちょっと考えてみると案外簡単なものです
がん細胞は、分をわきまえずに増殖する細胞ですが、何も無くても増えるわけではなく、細胞が増えるためには酸素と栄養素が必要です。またこの酸素と栄養素も、どこからからひらひらと飛んでくるわけではなく、必ず血管を通ってやってくる血液によって運ばれてきます。そのために、がん細胞というのは、自分の回りにたくさんの新しい血管を作り、たくさんの血液が自分の所に流れ込んでくるようにします。

そして、がん細胞が使う栄養素の代表が、ブドウ糖です。他の細胞を押しのけて、早いスピードで増えていくがん細胞は、このブドウ糖をたくさん消費します。

PET検診では、まず、ブドウ糖に放射性同位元素と呼ばれる特殊なラベルをつけたものを血管内に注射します。このブドウ糖も、がん細胞にたくさん取り込まれていくはずです。注射後に、ブドウ糖につけられた放射性同位元素が出す微量の放射線を検出する機械の中でしばらく横たわれば、それで検査は完了です。

もし、ブドウ糖が異常にたくさん集まっているところがあれば、そこにがん細胞が存在している可能性が高いと考えられます。これが、PET検診の原理です。


がんの早期発見にPET検診を生かす

がんの早期発見とPET検診
PET検査の原理が分かると、がんの早期発見での生かし方が理解しやすくなります
つまり、PET検診で発見される部位というのは、即座にがんだというよりは、「ブドウ糖をたくさん消費している部位ですよ」ということが分かるというのが、最も正確な表現です。

PET検診で異常が分かった部位については、従来通りの胃カメラやCT、MRIや超音波検査などで詳しく調べていくことが必要です。つまり、従来の検査が不要になるのではなく、全身のスクリーニング検査をPET検診でした上で、もし、異常が見つかれば、そこを従来の検査法を駆使して詳しく調べてみるということです。また、新しい検査法ですので、まだまだ改善の余地もあり、現在も色々な工夫が重ねられて、発展する余地のある検査法といえます。

しかし、「注射をして、横になっていれば、それだけで全身のがんの有無について調べることができる」というメリットは、従来の検査法に無かったものです。最近は、PET検診を受けられる施設も増えてきましたし、値段も、まだまだ安いとは言えませんが、少しこなれてきた感じもあります。

新年度や誕生日など、切りの良いときに、一度、受けてみるのもよいかも知れませんね。

【関連リンク】
PET検診の理解に必要ながん細胞の性質を解説。
良性腫瘍と悪性腫瘍の違いって?(All About がん・がん予防)

  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます