少し前からワイドショーでは花田勝氏と貴乃花親方の確執が取りざたされていますが、兄弟の師匠でもあった二子山親方が亡くなった病名が「口腔底癌」と聞いて、「どこにできるがん?」「エッ!口の中にがん!?」と驚かれた方も多いことでしょう。実は口の中は、歯以外、全てがんになる可能性を持っています。しかし体にできるがんのうち、口の中にできるものはわずか1%程度と非常に少ないものです。そこで今回は、意外と知られていない口の中のがんの1つについて説明します。

口腔底癌の場所、症状、特徴

口腔底癌の場所
黄色に見える範囲が「口腔底癌」が発生やすい場所
場所

口の中の「口腔底」という所にできます。
舌を丸めると舌の下にある部分です(右図)。普段はあまり目にすることがないので「こんなところにがんができるの?」と思われがちです。

症状
  • 痛みのない腫れ

  • →他にも同じ場所が痛みもなく腫れる病気があるので、鑑別診断は必要。
  • 治りにくい潰瘍

  • →入れ歯が原因と考えられるが、入れ歯を外すなどの原因を取り除いても1週間以上潰瘍がある場合。また進行すると深い潰瘍で、底がでこぼこになり周りが盛り上がってくる。
  • 小さな出来物

  • →白や赤の小さな出来物ができることもある。
特徴場所が狭く、舌や歯肉や筋肉などの周囲に進行しやすい。舌に進行すると舌がうまく動かせなくなる。(症状などは、ここに述べた以外にも様々あり、また同じような症状が現れる病気が他にも多くあるので、簡単には断定できません。)

原因は?

原因ははっきりしていませんが、煙草の影響が重要視されています。口腔底癌の場合は舌の付け根の奥ではなく、手前の方ががんになりやすいので、煙草の発がん性物質が手前の方に溜まってできやすいという説もあります。

またアジアの一部の地方では、「咬み煙草」を愛用している人たちの口の中に、がんの発生率が非常に高いといった説もあります。煙草を吸い込む時、真っ先に口の粘膜に触れるため、口の中のがんの多くが煙草の影響が大きいと考えられています。その他にも飲酒や口の中の清掃不良、入れ歯の当たりの刺激などが考えられます。

早期発見のために…

口の中のトラブルは虫歯や歯周病だけではありません。口の中のがんは、通常、一般の歯医者さんで治療はできません。親知らずでお世話になる人もたくさんいる「口腔外科」で診察します。しかし、まずはかかりつけのお医者さんや歯医者さんで診てもらいましょう。おかしいときには「口腔外科」に紹介状を書いてもらえることが多いので、心配な場合には我慢せずに必ず相談しましょう。

一般的に口の中の病気はかなり悪くなるまで我慢してしまうことが多く、がんのような早期発見により生存率が上昇する場合でも、進行してから来院することが多いようです。がんに限らず口の中では「出血」「膿が出る」「痛みがある」など様々な症状が出ますが、これがもし顔や体の皮膚から起こったとしたら、すぐに病院に向かうはずです。

ついつい痛くなってから行きがちですが、口の中のトラブルは口を閉じてしまえば見えなくなるだけで、決して治るわけではありません。早めの対処がポイントとなることだけは覚えておいてください。

●豆知識●  がんと癌について

新聞などを見ると「国立癌センター」ではなく、「国立がんセンター」と「がん」をひらがなで書いてあります。ひらがなと漢字で使い分けがあり、漢字の「癌」は、体の上皮性腫瘍(皮膚、口の中の表面、胃など)に限定されます。ひらがなの「がん」は上皮性だけでなく、「骨や血液などのがん」を含む広い意味の悪性腫瘍(がん)を指します。

例えば「抗がん剤」「国立がんセンター」は上皮性腫瘍だけでなく「血液や骨などのがん」も範囲に含むため、ひらがなです。「舌癌」「胃癌」などの上皮性腫瘍限定の場合、漢字になります。


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