今回は、ちょっと真面目なお話しではなく、閑話休題ということで気楽に読めるトリビア的知識をご紹介します。

人類史上、初めてインスリン注射を受けた人は…?

トリビアその1 はじめてインスリン注射を受けた人物

レナード トンプスン氏の名前をご存知ですか?14歳だったレナード少年は人類史上、初めてインスリン注射を受けた1型糖尿病者です。バンティングとベストのインスリン発見から20週後の1922年1月のことです。
体重わずか32kgと、すでに末期状態にあった少年はインスリン注射で奇跡的に回復して、27歳まで生きました。直接の死因は肺炎です。

バンティングとベストは自分たちの腕に注射して副作用の反応を確認してから注射したのですが、最初は少し血糖値が下がっただけです。牛のすい臓からの抽出液が不純物を多く含んでいたので、注射したところが化膿するという事態に…。
そこで、生化学者のコリップがインスリンの純化精製に協力して、数週間後にレナード少年はもう一度インスリン注射を受けます。初めて血糖値が低下した瞬間です。


トリビアその2 尿が甘いことを初めて記録したのは400B.C.古代インドの医師

焼きつくような喉の渇き、頻繁な多尿、いくら食べてもやせていく、この奇妙な病気は古くから知られていましたが、その原因不明はもとより、治療法も1922年までありませんでした。
古代インドの記録には、黒アリやハエが糖尿病者の尿にたかる記録があり、その尿が甘いことを医師Sushruta(スシュルタ)が述べているそうです。蜜の尿の発見です。


トリビアその3 国際名の「Diabetes ディアベテス」は古代ギリシャ生れ

ヨーロッパは古来より糖尿病を「ディアベテス」と読んできました。伝承に
よると、この言葉を作ったのは300B.C.ころの古代ギリシャの医師「アパメアのデメテリウス」となっています。語源となったのが「サイフォン=通り過ぎる」という意味で、水をいくら飲んでも尿として通り過ぎていく症状によるものです。
現在はトルコ領ですが、2世紀の当時はローマ帝国の東端にあった「カパドギア」生れのアレタエオスは糖尿病の詳しい所見を残しているので有名。それは「肉も骨も尿と共に溶け出す恐ろしい病気」…。ただし、アレタエオスは尿が甘いことは知らなかったようです。


トリビアその4 糖尿病の万国共通の病名はイギリス出身

ラテン語で(のちに英語訳)糖尿病の尿の甘味について書いたのはイギリス国王 チャールズ2世の主治医であった17世紀の「トーマス・ウイリス」です。私たちも糖尿病のことをDMと書きますが、MはMellitus(ラテン語の蜜のこと)です。
トーマス・ウイリスはこの甘味を硫黄のせいだと考えましたが、この甘さが糖(ブドウ糖)だと発見したのは、それから100年もたったイギリスの「ドブスン」という医師です。

ちなみにdiabetesは英語では"ダイアビティーズ"と発音します。海外旅行で必要になるかも知れませんね。
中国の古医学書では「消渇」という言葉が使われています。「消」が病名で、「渇」が中国医学でいう証(しょう)です。明治以前のわが国でも消渇と言われていました。
現在は、中国も日本も、漢字文化圏ではご存知の「糖尿病」です。
私はこのショーベン臭い名前が嫌ですが、皆さんはいかがですか?あなたの一票(2005年5月)をご覧ください。
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