糖尿病/糖尿病の経口薬・インスリン

緊急!ペン型インスリン注入器の使い回し

血糖測定器の使い回しが社会問題になりましたが、今度はより深刻なペン型インスリン注入器の使い回しが明らかになりました。事例は少ないでしょうが、血液汚染の可能性は否定できません。

執筆者:河合 勝幸

ペン型インスリン注入器
ペン型インスリン注入器
血糖測定器の使い回しが社会問題になりましたが、今度はより深刻なペン型インスリン注入器の使い回しが明らかになりました。事例は少ないでしょうが、血液汚染の可能性は否定できません。

日本では約30万人の糖尿病患者がインスリン治療と推定されていますが、患者が自分で注入するためにとても便利なペン型の注入器が用意されています。

このペン型インスリン注入器は、インスリンのカートリッジと注入器が一体となった使い捨てタイプのものと、インスリンカートリッジを交換できるタイプのものがあります。いずれも個人専用として使用する器具です。

従来のビン入りのインスリンを注射器で移し取って注射する方法は、血管(静脈)にヒットしているとインスリンの作用が速く、強く出るために、一度刺した注射器のピストンを少し引いて血流が逆流しないことを確めてから注入するように指導されていました。このような注射器の使い回しは当然ながらありえません。

ところがペン型注入器は注射針が細くてとても短いので、ピストンを引いて確認する必要もなくそのまま注入します。構造的にもピストンを引くことは出来ません。
注入ボタンを押したまま6秒以上そのままにして、注入ボタンを押したまま針を抜くことになっています。針を体内に刺したまま注入ボタンを緩めると、まれに血液がカートリッジ内に混入することがあるからです。
このペン型注入器を針だけ交換して複数の患者に使い回すことは感染の恐れがあるので禁止されています。しかし残念ながら行われていました。

医療現場ではかねてからこのペン型の使い回しの危険性が強く指摘されていたのですが、大阪市の病院で使い回しがあったことが分かり、厚生労働省は10月3日にペン型インスリン注入器の取り扱いについての医療機関への注意喚起および周知徹底の依頼を出しました。同様の使い回しが黒部市民病院であったことが報道されています。

今回の事例は少数だと思いますが、前回の血糖測定器の使い回しよりも危険なことなので医療機関がどこまで正直に自主申告するかどうか疑問が残ります。心配な方は病院や保健所に相談してください。

ところで血液が混入したカートリッジはどうするかご存知ですか?自分のものでもそのインスリンペンは使わないことになっていますよ。

ペン型インスリン注入器を販売している製薬会社は次の3社です。


関連リンク
  • ノボ ノルディスク ファーマ株式会社
    from All ノボ ノルディスク ファーマ株式会社
  • 日本イーライリリー株式会社
    from 日本イーライリリー株式会社
  • サノフィ・アベンティス株式会社
    from サノフィ・アベンティス株式会社
  • ※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
    ※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
    免責事項

    あわせて読みたい

    あなたにオススメ

      表示について

      カテゴリー一覧

      All Aboutサービス・メディア

      All About公式SNS
      日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
      公式SNS一覧
      © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます