2型糖尿病の引き金になるインスリンレジスタンス(インスリンがうまく作用しない状態)が1型の人にも起ることが分かりました。この1型プラス2型の人は心不全のリスクが高くなります。
[Diabetes Care 2003;May]
1型糖尿病というのは自己免疫システムの誤作動によって、インスリンを作る膵臓のベータ細胞を急速に失ってしまうものです。
2型というのは遺伝や肥満などが引き金となって、そのベータ細胞が10年、20年にわたって緩慢なアポトーシス(プログラム死)を起すものと考えられています。
病因は全く違うものですから、2型になりやすい遺伝子を持った1型の人もいるわけです。
1型の人がインスリン注射の回数を増やしてタイトコントロールをすると、どうしても太りがちになることが往々にしてあります。
太るとインスリンが効きにくくなり(インスリンレジスタンス)、心臓の冠動脈硬化が進んで心不全になりやすいのでは、と考えられています。
ピッツバーグ大学医科大学院公衆衛生学教授、トレバー オーチャード博士によると、『1型糖尿病にも心疾患が多いのですが、なぜそうなるのかは明らかではなかった』そうです。
そこで、2型と同じように1型の人もインスリンレジスタンスになると、同じように心臓病のリスクが高まるのではと考えて、それを疫学的に証明したのが今回の論文です。
うれしいことに1型糖尿病の全員がインスリンレジスタンスになるわけではありません。インスリンレジスタンスは運動や、減量、薬によって治療したり予防したりすることが可能です。