マグネシウムはよく知られているミネラルですが、具体的なイメージはあまりありませんね。家庭菜園をしている人は、土のpH調節に苦土石灰(くどせっかい)を使いますが、『苦土』がマグネシウムを意味していて、そのマグネシウムは葉緑素の中心にあるミネラルですから、『苦土』を与えると野菜のグリーンがとても濃くなります。
マグネシウムは2型糖尿病のリスクを減らすようだという発表がありました。マグネシウムはグリーンの濃い野菜やナッツ類、未精白の全粒穀物に多く含まれています。
この研究は糖尿病治療をリードするDiabetes Care(アメリカ糖尿病協会)2004年1月号にハーバード大学の公衆衛生学の研究者が発表したものです。
特に肥満度の高い人にとってマグネシウムの摂取は2型予防に効果があるようです。
マグネシウムはからだの中に20g~28gはあるとされており、その大部分(65%)は骨や歯に含まれています。ふつうの細胞の中に34%あるので、残りわずか1%が血液などで循環していますが、この血しょう中のマグネシウム濃度が糖尿病の合併症と関連が深いことは以前から知られていました。
たとえば健常者の血しょう中のマグネシウム濃度は1mmol/Lぐらいあるのですが、糖尿病による増殖性網膜症の人は0.66mmol/Lという報告があります。その理由は分かっていません。
からだが必要とするミネラルはいろいろな働きをしていますが、マグネシウムはインスリンの分泌と作用にも関与しています。特にインスリン抵抗性との関係が深いようです。
糖尿病の高血糖症状として多尿がよく知られていますが、多尿が必然的に必須ミネラルを排泄してしまいますのでまさしく悪循環に陥ります。
今回の、マグネシウムが豊富な食生活は2型糖尿病のリスクを減らすという研究は、85,000人のナース(女性)と42,000人の医療従事者(男性)を、女性が18年、男性で12年間トレースしたものです。
肥満度が高い人ほどマグネシウムのご利益がありました。ほとんどの人がサプリメントではなく食品からマグネシウムを取っていました。いま話題の『にがりダイエット』もマグネシウム塩がたくさん含まれています。
日本でも2003年12月に厚生労働省が食品に含まれる成分機能を表示できる『栄養機能食品』の栄養成分として新たにマグネシウム、銅、亜鉛を追加するよう関係部会に提示しました。『マグネシウムは骨や歯の形成に必要』などと食品に表示されるようになりますので、糖尿病のある人はご注目を。
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