平均余命45歳? 極端な対策が招く悲劇
糖尿病患者の平均余命を話題にするのはとてもつらいことです。発病が自分の責任では全くない1型糖尿病の場合は特にそうです。私も1型の友人が大勢いますが、明るく振る舞っている陰に、将来の人工透析に備えて前腕にシャント(血液透析のための動静脈の直接血行路)が埋め込まれていることを知れば心が痛みます。
一般論として1型糖尿病者の平均余命は、健常者よりも15年短いとされています。若い女性が減量のためにインスリンを減らして激ヤセしたり、低血糖の恐怖のために指示されたインスリン単位を守らなかったりするとさらに10年以上も平均余命が短くなるという悲しい結果が発表されました。
[Diabetes Care, 3月号 2008]
ジョスリン糖尿病センター(ボストン)のDr. Katie Weingerによると、234人の1型糖尿病女性を11年間にわたって追跡調査をしたところ、自分でインスリン単位を制限してしまう女性は、制限しない女性に比べて死のリスクが高く、腎臓や足のトラブルも増えることが分かりました。
その上、必要なインスリンを制限しない女性の平均余命が58歳なのに対し、自分勝手にインスリンを減らしてしまう女性は45歳とはなはだしく短命だったのです。2004年誕生のアメリカ女性の平均余命は80.4歳ですから1型糖尿病の女性はあまりにも若死にです。
追跡調査のスタート時では71人の女性(30%)が自己申告のスクリーニングで「必要量のインスリンを打っていない」と答えていました。観察期間中に21人が死亡し、その内10人が自分でインスリンを制限しているグループです。他の要因を調整しても、インスリンを必要量注射しない女性は死亡率に4倍もの高い相対リスクがあります。
>>さらに摂食障害の併発リスクについては次のページへ>>