高血圧症/高血圧薬・降圧剤

気になる生活習慣病を考えよう 高血圧薬を使う、その前に

血圧は上が120台、下は70台だったら平気♪と思っている人も多い事でしょう。最近では高血圧の判定基準は厳しくなる一方で、もうその数字で安心していられないようです。

執筆者:赤堀 一仁


まだ大丈夫という人も
ちょっと気にしてほしい「高血圧」

血圧というとある程度お年を召された方のためのお話だと思ってしまう方も多いと思います。しかし、昨年アメリカで発表された(JNC7)によると、これまで余裕だった方も年齢に関わらず、自分の血圧について考えないといけないようです。

日本のこれまでの基準(JSH2000)でも日本ではおよそ3000万人の方が高血圧症とされていて、多くの人が気になる存在なのが高血圧なのですが、基準の見方によってはその数はますます増える事になってしまします。実際に成人の2人に1人が高血圧という数字を出している保険会社などもあるほどです。気になるけれどまだ平気と思っている人も関係ないとは言えないようです。今回は、高血圧について薬を使う前にできる事、使う事になってしまった時、自分がどんな薬を使っているのかを考えてみてはいかがでしょうか。

日頃から血圧の薬をお使いの方も、名前ぐらいは知っていてもどんな薬までは知らなかったり、薬を飲むのがイヤだから、ちょっと気になるけれど見てみないふりをしている人も、今回ばかりはちょっとまじめに考えてみましょう。

厳しくなっている
高血圧の最新ガイドライン

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高血圧の判定はさまざま


2003年に発表されたアメリカの治療ガイドライン(JNC7)によると、上の血圧(収縮期血圧)が120mmHg代、下の血圧(拡張期血圧)は80mmHg代はもう高血圧予備軍として考えられるようです。血圧がだいたいこのレベルの人は薬を使うかどうかは微妙ですが高血圧予備軍と認識して運動や食事など、生活習慣を考える事はスタートしなくてはいけないようです。

なぜ血圧コントロールをしないといけないの?

そもそも、なぜ血圧が高いといけないのでしょう。ちょっとくらいの血圧オーバーならいいのでしょうか?アメリカのガイドラインが日本人に当てはまるのでしょうか?先日の日本高血圧学会で発表された最新のガイドライン(JSH2004)では判定基準こそ4年前の基準を準拠したものの、塩分摂取量の制限や血圧の24時間コントロールなどより厳しい対応が発表になっています。

高血圧は生活習慣病のひとつとして合併症も心配されるのです。糖尿病、高血圧症、高脂血症、といった生活習慣からくる病気は、死の三重奏。これに「肥満」を加えて死の四重奏、あるいはシンドロームX(エックス)などと呼ばれています。これらはそれぞれが独立した病気ですが、ひとつの病気になると他の病気も発症しやすくなるという研究がいくつも報告されているのです。

その他にも上の血圧が140mmHgを超えると心筋梗塞や脳梗塞といった心血管障害の起きる確率が高くなったり、血液をきれいにしているフィルター役の腎臓に負担がかかったりしてしまう事が心配されるからです。

高血圧になるポイント

血圧は血管の中を流れる血液の流れる力の事なのは皆さんもご存知だと思いますが、高血圧になるポイントってなんでしょう。


  • 血圧=心臓から送り出される血液の量×血管の抵抗

血圧はこの計算式のふたつのパラメーターの相関関係でなりたっています。

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ポンプの心臓は血流を起こして血圧を作る
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フィルターの腎臓には高い負荷がかかる
血液を送り出すポンプ役の心臓の力が強かったり、一回に送り出される血液量が多かったりすると血液の流れる力は強くなります。また、全身にはりめぐらされている末梢血管は弾力があるとゴムのように伸び縮みして送り出された血液の力を和らげています。とりわけ毛細血管の集中する腎臓は血圧に大きく影響しているのです。

心臓の収縮力や大きさは簡単に変える事はできませんが、末梢血管の抵抗性は生活習慣によって大きく影響していそうです。運動不足や自律神経の緊張などで血管が固くなったり、血液中の脂肪分が増えてしまってドロドロ血液だったり、そのカスが壁にこびりついて血管の内径をせまくしてしまったりすると血圧がアップしてしまうことになります。このあたりに高血圧の薬が働くポイントが隠されているようです。

わかり易く例えると
血管はゴムホース

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血管の中のイメージ
血管はゴムホースに例えるとわかりやすいかもしれません。日頃からよく使用されているホースは、使われるたびに水圧がかかったり曲げたりされて伸び縮みをしていて、その柔らかさの劣化が少ないのに対して、使わずに放置されたホースは硬くなってひび割れてしまったりするのを見た事があると思います。

また、血管壁にこびりついた汚れは、下水道管の汚れに例えられます。その汚れも汚れた水が流れている方がこびりつきやすいのはなんとなくイメージできます。

薬を使う前に
やっぱり運動で予防

運動をする事で一時的に血流量を上げて、血管に負荷をかけたりする事で血管の柔らかさが保たれ、また、勢いのある血流でこびりついた汚れもとり除く事もできるのです。弾力のある血管とサラサラ血液、そして汚れのない血管の内壁が整ってくる事で血圧はおのずと低くなってくるのです。

運動をする事で血圧が下がってくる事がおわかりいただけましたでしょうか。運動を続ける事で筋肉や骨の衰えもゆっくりになったり、脂肪を分解してダイエットになったり、糖尿病になりにくくなったりして、悪い事はないといえます。

高血圧と呼ばれる前に日頃運動不足を感じていながら、怠けていた人は高血圧の薬を使わなくてもいいように、無理のないちょっとだけの運動を考えてみてはいかがでしょうか。できるだけ毎日、できるだけずっと続けられるかどうかがポイントです。

今回はここまで、次回は運動や食事を注意しても、どうしても血圧が高くなってしまった人はお薬が必要です。どんな種類があるのか、どんなポイントで薬が効くのかなど、どうやって血圧を下げる?血圧の薬の解説です。実際に使っている人はどんな種類の薬を使っているのかみてみましょう。


【関連リンク】
今年はやるぞ!ダイエットfrom AllAbout薬について
新基準で血圧に泣く人が増える?from AllAbout家庭の医学
AllAbout関連サイト
ダイエット
糖尿病

日本高血圧学会
JNC7日本語解説from 札幌厚生病院循環器科
National Heart, Lung, and Blood Institute(NHLBI)
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