不妊症/不妊症の基礎知識・治療法・薬

高プロラクチン血症ってなあに?

不妊症の原因でよく見られる「高プロラクチン血症」について、症状や治療法をご紹介します。

執筆者:池上 文尋

今回から、不妊の原因について、シリーズで解説したいと思います。その第1弾として、「高プロラクチン血症」についてご説明します。不妊の原因は、様々な要因が複合して起こっている場合が多いのですが、「高プロラクチン血症」がその一つで、排卵障害の原因の10~20%を占めると言われています。

妊娠したことがないのに、母乳が出てくる場合などは、この病気を疑って見たほうがよいでしょう。

★プロラクチンとは?

プロラクチンは脳の下垂体前葉という6種類のホルモンを作り出す部分から出るペプチドホルモンの1種です。その働きは下記の通りです。
1)乳腺の発達を促進し、乳汁を分泌させる
2)母性本能に関連していると言われている
3)構造が成長ホルモンに似ており、様々な生理活性を有している。

授乳期間中はこのプロラクチンの血中濃度は上ります。子供の乳首への刺激でプロラクチンの分泌は増します。この期間はその高い血中濃度が母親の排卵を抑制します。それは子供の授乳期間は妊娠をさせないという体の判断によるものです。人間の身体はうまく出来ていますよね。

通常は授乳期間が終われば、このプロラクチンの血中濃度は普通の状態に戻って行きます。そして排卵も普通になり、次の妊娠へと向かうわけです。

★高プロラクチン血症の原因

しかし、授乳期間以外の通常の時でもこのプロラクチンが多く分泌されて、血中濃度があがる場合があります。その状態のことを高プロラクチン血症といいます。その原因は様々です。

高プロラクチン血症の原因
1) 脳腫瘍(プロラクチノーマ)
2) 流産・中絶後
3) 薬剤によるもの
4) 原因不明

このような原因が元でプロラクチンの血中濃度があがって、授乳中と同じような卵巣への抑制が働く事により、不妊(排卵障害・無月経)に結びつくといわれております。大多数は、「原因不明」でよくわかっていないことが多いのです。

この原因の中で最も気をつけなければならないのはプロラクチノーマです。
下垂体のプロラクチンを分泌する細胞から腫瘍が発生して、授乳とは関係なくプロラクチンを過剰に分泌し続けるものがプロラクチノーマです。20~30歳台の女性に多く、男女比はおよそ1対8です。腫瘍は良性で悪性であることは極めて稀です。

乳汁分泌や視野の狭窄といった症状がでることがありますので、プロラクチンの値が高くてそのような症状がある場合は要注意です。

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