加齢によって生じる健康への影響の1つに、尿の問題があります。男性では前立腺肥大症という病気の名前はよく知られていますが、ご自身がこの病気であることに気がついていない方も多く、また、女性の頻尿についても過活動膀胱という病名が近年話題に上るようになりました。男女ともに人には言えない問題として、悩んでいる方も多くいらっしゃるようです。今回はその概論と、男性の排尿障害についてご説明します。


「おしっこ」のトラブルに関する医学用語

トイレの問題
尿に関する問題、年齢のためだとあきらめていませんか?
「おしっこ」に関する医学用語はいくつもあるのですが、この中でもやや紛らわしいのが「頻尿」「多尿」という言葉です。頻尿とは、尿の量に関わらず、排尿と排尿の間の時間が短縮している状態のことを指します。これに対して、多尿とは尿の量そのものが増量した状態を指します。水を飲みすぎて尿量が増えて多尿と同時に頻尿となることがあります。
  • 頻尿……トイレ(尿)の回数が多い
  • 多尿……1回ごとの尿の量が多い
そこで、何回ぐらいトイレに行くと頻尿と呼ばれることになるか、ということが問題になります。トイレの回数は人それぞれですので必ずしも限定できるわけではありませんが、健康な人であれば一般的な昼間の排尿回数は5~6回前後、夜間は排尿がないか、あっても1回です。

日中のトイレの回数には個人差が大きいと思いますが、夜間に排尿のために何度も目が覚めて睡眠を妨げることがあっては健康にも影響してしまいます。そこで、ここでは頻尿という言葉の意味を、昼間のトイレの回数がおおまかに10回以上、夜間にトイレに起きる回数は2回以上を目安として説明を続けます。


頻尿の原因

頻尿の原因を考えるには、1回ごとの尿の量が多いかどうか、つまり多尿を伴うかどうかがポイントとなります。例えば頻尿かつ多尿である場合には、加齢あるいは糖尿病などの病気による腎臓機能の低下、血液中の電解質の異常(高カルシウム血症、低カリウム血症)、治療のための利尿剤の影響ということがあります。こうした原因がはっきりすれば良いのですが、実は精神・心理的な影響で単純に水の飲みすぎであったということもあります。

では、1回ごとの尿の量は少ないのに頻回にトイレに行く、という場合にはどう考えるかですが、夜眠っているときにも頻尿であるかどうかが病気を見分ける大きなポイントです。昼間には頻繁(ひんぱん)にトイレに行くのに、寝てしまえばトイレに起きることはない、という場合には精神的な影響であることも多いようです。その反対に、昼夜を問わずトイレが近いという場合、尿路感染症(膀胱炎)の他に前立腺肥大症が原因となっている可能性があります。今回の主題である50代以降の頻尿の原因について考えてみましょう。