■モデルルームにテレビは置かない、その理由
薄型テレビの登場で、最近は少し状況が異なってきましたが、テレビを置いているモデルルームって少ないのです。お気づきでしたか?「ホームシアター」がセールスポイントであるマンションは別として、通常のモデルルームではなかなかありません。なぜ?
理由はいくつか考えられます。
●テレビが大きく場所をとる→部屋が狭く見える
●生活感がでてしまい、せっかくの新居への夢が現実に引き戻される
●テレビの場所によって、ソファの位置などコーディネイトに支障がでる
最近は、パソコンでテレビを見たり、高性能のポータブルテレビが販売されるなど、リビングルームにおけるテレビの存在はさほど気にしなくてもよいのかもしれません、が要はあなたのライフスタイル次第。
“テレビが友達”ということであれば、モデルルーム見学の際には、テレビの位置をイメージし、それにあわせてその他の家具の配置に問題がないかを考えましょう。コンセントの位置などを確認できるようになれば、かなりの“通”と言えます。
■モデルルームは参考品、主役はあなた
これまで見てきたように、モデルルームは見学者を意識し、よく見せよう、気に入ってもらおう、と意図されたモノです。ただ、モデルルームが存在するからこそ、私たちビギナーはそこでの生活イメージができる、というのも事実です。
モデルルームは、そこで暮らすだろう人物をイメージしてコーディネイトされており、立地も設備仕様もあらゆるマーケティングを尽くしてなされているものなので、販売側の想定ターゲットとあなたの希望するライフスタイルがピッタリマッチングすれば、それは素晴らしいマンションとの出会いと言えると思います。
問題は、自分側の希望やイメージが明確でない段階で、素敵なものを見て『コレだ!』と勘違いしてしまうことにほかなりません。新居への引越しの際、これまで生活を共にしてきた家具、小物などとともに引越しするのだ、ということを忘れずに。新居に入る中身はモデルルームで見た素敵にコーディネイトされたモノではなく、あなたの身の回り品です。
だからこそ、モデルルーム見学では、コーディネイトだけを見るのではなく、基本の値段に含まれている設備仕様や、使い勝手、さらには構造や躯体といった目に見えない所に関するヒアリングをしっかりと行なって欲しいと思います。
■現在の住まいと比較してはダメ!
モデルルーム見学の際に肝に銘じていただきたいのは、「現在の住まいと比較してはならない」ということ。これは一目惚れや勘違いの原因ナンバー1ではないでしょうか。
モデルルームは新しく、素敵で、夢や希望の塊です。現在の自宅と比べて、モデルルームが素敵なのは当たり前。ついつい“このような素晴らしい空間があったとは”“私のために用意されていたかのような、この出逢い”と考えてしまいがち。少し極端かもしれませんが、気持ちの昂ぶりはこのような状態だと思います。小物などの中身を買うのではなく、容れ物である器を買うのだと、冷静になってくださいね。比較は自宅とではなく、モデルルーム同士で行ないましょう。
親元からの独立、賃貸住まいからの脱却、シングルのマンション購入にはいくつかのシーンが考えられますが、初めての分譲マンション、初めての高額なお買い物、と舞い上がってしまう要素がたくさんあります。後悔しないためにも、冷静な目でモデルルームを見学し、じっくり納得のいくまで選びましょう。思い込み、勘違いは禁物です。
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