市立小学校の先生を任命するのは都道府県
教育委員会の機構図。教育長より下は教員出身者になることが多い。 |
さて、ここで疑問に思う人がいるかもしれません。なぜ「市立」小学校の先生になるのに、「県会議員」「県教育委員会」などへの働きかけが必要なのか。
「地方教育行政法」では、市町村・東京特別区立の教員の任命権は、都道府県の教育委員会が持つことになっているのです(第37条)。なぜなら、彼らの給料は基本的に都道府県が負担するからです(「市長村立学校職員給与負担法」)。
もっとも、すべてを財政難の都道府県が負担することは不可能なので、実際には給料の3分の1は国庫負担となっています。いずれにせよ、市町村区は給料を負担していません。
その他、教職員の研修も都道府県の教育委員会が行います。ただ、政令指定都市は例外として県に代わって人事権と研修権を持っています。人口30万人以上の都市が指定された中核市も、研修権を持っています。
意味のない教育委員会の機能?
教育委員会のような「地方行政委員会」というのは、政治などいろんなものが教育に不正に介入しないように組織されたもので、都道府県知事や市町村長から独立し、職務を行うようになっています。しかし、実際にはこれが「教員の独立」ともいうべきものを作っている……という声があります。
教育委員委員長と教育長、この2つのポストは別物です。教育委員会の指揮のもと、教育長が「教育委員会の権限に属するすべての事務をつかさどる」(地方教育行政法第16条)ということになっています。
この権限の大きな教育長、ほとんどのケースでは教員経験者が任命されます。そして、やはり教員から任命されることがほとんどの教育委員会の職員を統率し、「教員の独立王国」を作ってしまいます。
教員が政治から独立して教育行政を行うのは必ずしも悪いこととはいえないと思いますが、大分の場合はまさに悪い方に流れてしまったわけです。これを本来監視すべき教育委員会もまったく機能せず……教育委員会を監視する委員会が必要なのでしょうか?