(記事掲載日/2008.6.1)

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行政事業の「日没」をあらかじめ規定

サンセット方式
行政組織・事業の終了日(日没)をあらかじめ決めるのがサンセット方式。
サンセット方式とは、法律を「日没」つまり終わりの日を規定した時限法にすることで、法律によって生まれる行政組織や行政事業が増えすぎるのを抑える制度です。

行政の活動は放っておくとどんどん肥大化していく傾向があるのは、先進各国ともに共通の問題です。これに歯止めをかける手段として、アメリカで生まれた方式がサンセット方式なのです。

1960年代のアメリカは「大きな政府」という考え方のもと、行政組織は拡大し続けましたが、それにともなう行政コストは軽視され、むしろ行政による規制の多さに批判が集まっていました。

これに対する抑制法が必要とされたわけで、サンセット方式はその流れの中から生まれたものでした。

具体的には1976年、コロラド州で初めて導入され、現在では35州でサンセット方式が設置されています。もっとも、機能してない州もあり、実質的に機能しているのは24州程度だといわれています。

サンセット方式のメリット・デメリット

サンセット方式
行政組織にプレッシャーをかけ効率性をあげる効果は強いが、一方で問題・課題もある。
サンセット方式のメリットは、「必要のない行政組織や事業を無駄に存続させない」ことが実現できるという点です。

先ほども述べた通り、新たな行政組織を作るときにその終了期間を決めるのがサンセット方式です。そのため、この組織を存続させ事業を続けようとするなら、改めて議会が組織延長の法律を作らなければなりません。

議会が延長を認めるためにはそれなりの理由が必要なわけですから、存在理由が消滅した組織は存続できません。こうして、無駄な組織が自動的に消えていくというわけです。

もう1つのメリットは、組織や事業に対する評価が重視されるということです。もちろん行政評価はサンセット方式の有無にかかわらず重要ですが、行政評価がなければ延長の可否を決める判断材料がないわけですから、サンセット方式では必須です。

結果として、行政が絶えず評価にさらされることになり、国民や住民の監視が行き届くことにつながります。

しかし行政評価が必須なことは、デメリットにもつながります。サンセット方式をとっている各州では、評価するためのコストもまた大きなものになっています。結局、無駄をなくして予算を削る、というわけにはいかなくなっているのが実情です。

デメリットというわけではありませんが、サンセット方式はあくまで議会と行政の関係のうえに成り立っているもので、住民の意見があまり取り込まれていないしくみになっているのも問題点といえます。

しかしそれでも多くの州がサンセット方式を採用し続けていることを考えると、それ相応の効果があると考えられますし、デメリットの点も、各州はその克服に力を入れています。

日本でもサンセット方式を導入すべきという声は少なくありません。特に財政難の地方自治体では導入に前向きなところもあります。「ハコモノ」組織もサンセット方式のもとでなら、黒字運営にするため組織が民間企業なみにがんばるようになるかもしれませんね。

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■関連サイト 官僚制理論と官僚制批判理論その基礎

※参考書籍・サイト
『[新版]現代政治学小辞典』阿部斉・内田満・高柳先男/編 1999 有斐閣

「サンセット法の成果と展望」畠山武道(所蔵『会計検査研究第17号』会計検査院発行)
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。