シーア派内部の対立激化

イラクの対立
イラクの宗派対立は終わらないが、図式は大きく変わった
2006年にシーア派主体のマリキ政権が発足してからも、激しい宗派対立は続き、2008年になってもテロなどが頻発しているイラク。

特に「マフディ軍」の存在がマリキ首相を悩ませてきました。マフディ軍とはシーア派系強硬派・サドル師が率いる民兵組織。一時はマリキ政権の与党となっていたサドル師ですが、昨年政権から離脱。イラク政府の治安部隊と衝突を繰り広げるようになってきました。

しかし一説には6万人を擁するといわれるマフディ軍。英米主体で作り上げた治安部隊が彼らを封じ込める能力には疑問符がつく状況で、本格的な衝突は内乱に発展する可能性を秘めています。

米軍は治安部隊の支援のため軍を展開していますが、これもかえって反米ムードを再燃させ、治安悪化を招くおそれもあるため、容易に動けず、限定的な空爆などのみで支援するのみとなっています。

つきまとうイランの影

それにしても、過激スンニ派が掃討されたはずのイラクで今度はシーア派同士の激しい対立。なにがこうさせているのでしょうか。

1つにはイラク治安部隊などイラク軍の弱さにあります。イラク国軍が単独で国内治安を保つにはあと20年はかかるという分析もあります。そのため、各地に割拠しているシーア派勢力の覇権争いを止められないというところがあります。

もう1つは、隣国のシーア派国家・イランの存在。

イランはイラクのシーア派各派の民兵組織を支援し、イラクにおける影響を強めようとしています。しかしそのため民兵組織は強固なものとなり、米軍でさえもなかなか手が付けられない存在になってしまいました。

この情勢を打開するには、アメリカとイランの対話拡大が必要ですがイランの現政権は強硬な反米路線。イラクの平和は、まだまだ遠そうです。

■関連サイト シーア派とスンニ派
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