随意契約とは何か?
随意契約にすることができる契約の条件。随意契約はあくまで「競争入札主義の例外」として特別に許されるべきもの。 |
このように、入札を行わないで直接業者と結ばれる契約のことを「随意契約」といいます。地方自治法によって地方公共団体にも認められています。
ただし、最初にもお話しした通り、あくまで日本は「競争入札主義」による契約を定めています。随意契約は、その例外として行われなければなりません。
国や地方公共団体が随意契約を結ぶことができる例としては、
・少額の契約をするとき
・特定の者でなければ納入することができない製品を購入するとき
・それに代わるものがない土地などを購入するとき
・緊急のとき
などがあります。
さらに地方公共団体には、障害者や高齢者支援のため、それぞれの支援施設で作られているものを購入したりするときなどにも随意契約が許されています。
また、入札が不成立に終わった、つまり予定の価格より高い価格を全ての入札参加者がつけてしまったような場合、随意契約が可能となっています。
随意契約と汚職の関連
しかし、随意契約の相手業者をどこにするかというのは官庁などの担当官に任されているため、ここに汚職が発生する余地が残されています。つまり、担当官(あるいはその上司)が理由をとりあえず取り繕って、実際には入札で契約できるものを、わざわざ関係のある業者と結ぶようなことが考えられるわけです。ここではまた、金品などの賄賂(過剰接待なども含む)が贈られているかもしれません。
また、省庁などの外郭団体との随意契約も問題です。このような外郭団体には、省庁や地方自治体が作った団体で、官僚たちが天下ったりすることが多くなっています。入札できるものを、これらの団体に随意契約で発注するなら、これも問題です。
このような随意契約のありかたはしばしば問題になっています。
必要な随意契約の透明性確保
官庁の中の密室で行われる随意契約の締結。随意契約を結んだ理由をきちんと公開しないと癒着が疑われて当然といえる。 |
また、随意契約が必要なものを、わざわざ費用をかけて入札するのもよくありません。公示にも費用がかかりますし、入札手続きに時間も費用もとられてしまいます。
必要なのは、随意契約を透明化することでしょう。なぜ随意契約が必要なのかということをはっきりさせ、説明責任を果たせるようにしなくてはなりませんし、国民もしっかり監視をしなければなりません。
総合評価型入札
最後に、総合評価型入札というものをご紹介しましょう。価格の低さだけで公共事業を発注して、あとで耐震偽装などとんでもないことが起こることもあるかもしれません。そこで、価格だけでなく、総合的なものを判断して請負業者(落札者)を決めるのが総合評価型入札です。
会計法では「価格及びその他の条件が国にとつて最も有利なもの(中略)をもつて申し込みをした者を契約の相手方とすることができる」と定められています。国にとって有利、というのは当然国民にとってということであって、良質の建築物を建てること、環境に配慮すること、などを価格に加えて業者の選定条件にすることができるわけです。
このような方式は実際には平成に入ってから行われるようになり、公共事業などについてもこの入札をするためのガイドラインが整備されるようになりました。また、地方公共団体でも法令改正により行えるようになっています。価格以外の要素があるので談合がしにくくなるメリットはありますが、いずれにせよ国または地方公共団体がどのような基準で請負業者を選んだのか、その透明性を確保するのがこれからの課題です。
参考書籍・サイト
『公共契約法精義』(碓井光明,2005,信山社)
『財政の適正管理と政策実現』(日本財政法学会/編,2005,勁草書房)
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