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成立した国民投票法、重要条文をチェック!(2ページ目)

5月14日、憲法改正の国民投票手続などを定めた「国民投票法」が成立しました。賛成・反対、いろんな議論を経てできた法律ですが、どんな法律なんでしょう。重要条文を一緒に読んでいきましょう。

執筆者:辻 雅之

1ページ目 【憲法改正国民投票の実施は早くて2010年】
2ページ目 【国民投票に関する運動の規制はどうなっている?】
3ページ目 【これが国民投票で使われる投票用紙の見本!】

【国民投票に関する運動の規制はどうなっている?】

表現の自由か、資金力の格差を許すか

札束
表現の自由は大切だけど、資金力にものをいわせて運動を有利にすすめるのもどうだろうか?
憲法改正国民投票は、だれか特定の人を当選させて利害を得ようというものではなく、国政の重要事項を決めようというものです。

そのため、公職選挙法にくらべると、国民投票法では選挙運動、法律でいうところの「国民投票運動」への規制は少なめになっています。実際、このようなことに配慮すべきことが規定されています。

第100条「この節及び次節の規定(ガイド注:国民投票運動とその違反罰則について)の適用に当たっては、表現の自由、学問の自由及び政治活動の自由その他の日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当に侵害しないように留意しなければならない。」

そのため、基本的には広告やCM、雑誌や新聞などで自由に賛成、反対の意見を表明することが可能になっています。例外として、

第105条「何人も、国民投票の期日前14日に当たる日から国民投票の期日までの間においては、(中略)一般放送事業者等の放送設備を使用して、国民投票運動のための広告放送をし、又はさせることができない。」となっています。

しかし、賛成派が巨額の資金を持っていて大々的にPRでき、反対派は資金に乏しく国民へのPRができない、ということになると問題かもしれません。そうはならないよう、国民の良識が期待されるところですが……。

公費での運動が許されている政党

もっとも、政党はある程度お金のかからない国民投票運動ができるようになっています。ここでいう政党とは「一人以上の衆議院議員又は参議院議員が所属する政党その他の政治団体であって両議院の議長が協議して定めるところにより国民投票広報協議会に届け出たものをいう。」(第106条2項)となっていますから、政党助成法などで政党と認められないような小政党(こちらは国会議員5名以上または国政選挙で2%以上の得票率が必要)も、対象となります。

そして、「政党等は、両議院の議長が協議して定めるところにより、憲法改正案に対する賛成又は反対の意見を無料で放送することができる。この場合において、日本放送協会及び一般放送事業者は、政党等が録音し、又は録画した意見をそのまま放送しなければならない。」(第106条4項)となっています。

また、「政党等は、両議院の議長が協議して定めるところにより、(ガイド注:新聞に)無料で、憲法改正案に対する賛成又は反対の意見の広告をすることができる。」(第107条4項)と規定され定ます。

ちなみにどちらも「政党」となっているのは、政党が他の団体に意見広告などを委任することができるからです。この規定を利用して「○○党」と全面に出すより、「すばらしい憲法を作る会」「憲法改悪を許さない会」とかを作って委任させた方が、インパクトは強いかもしれませんね。

公務員・教育者の地位利用禁止

黒板
もし国民投票運動期間中、生徒や学生に素朴な質問された先生はどこまで答えることが許される?
公務員は、やはり地位を利用して国民投票運動を行うことが禁止されています。

国家・地方の公務員と行政独立法人の職員が地位を利用して国民投票運動をすることは禁止されています。職権を濫用して有権者の投票の自由を脅かす行為をした場合には(自宅にいくなど)4年以下の禁固が科せられることになっています(第103条1項・第111条)。

そして、「教育者の地位を利用した運動」も同様に禁止されています(第104条2項)。ただし、罰則規定はありません。

ここでいう「教育者」とは、「学校教育法」に定めのある学校、つまり「小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、大学、高等専門学校、特別支援学校及び幼稚園」(学校教育法第1条)の校長や学長・教員のことです。

ここで問題になるのが、「教育者の地位利用」とは何か、ということです。特に高校の公民科の先生、さらには大学で憲法を教えている教授が何をどこまで話していいのか(18歳以上から有権者になりますから)、これは国会でも活発に議論されましたが、今一つ不明確なところがあります。

さらに、学校教育法の範囲なので、私立学校の教員も対象になります。こうなってしまうと、有名私立大学の憲法学の教授が、その肩書きを使ってマスコミなどで意見をいうことは「地位利用」になるのかどうか、解釈の難しいところです。

それでは実際、国民投票法案はどのような方式で投票されるのでしょうか。次ページでお話していきます。
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