(記事掲載/2006.12.10)

第2・第4日曜に更新「政治の時事用語」。今日はここ3ヶ月で3人の知事が逮捕されるなど深刻な問題の背景となっている「官製談合」についてです。

官製談合とはなにか

官製談合の図式
官庁と業者が癒着して生まれる官製談合によって、入札は形だけ、意味のないものになってしまう。
「談合」というのは、もともと「話し合い」の意味の言葉です。

しかし現在では、「競争入札をする前に、入札をする業者などが事前に話し合い、落札者と落札価格を決めてしまうこと」を意味することが多くなっています。

これによって、本来競争原理で落札者を決め、より効率的な支出をするための入札制度の意味がなくなってしまうことが、大きな問題なのです。

そして官製談合とは、この「話し合い」に、お金を出す側の官庁側の人間が参加することをいいます。

官庁と業者がいっしょになって落札者と落札価格を事前に決めてしまい、入札じたいを「出来レース」(はじめから勝者が決まっている八百長レースの意味)にしてしまう。これが、官製談合の大きな問題点なわけです。

「指名競争入札」制度の問題点

一般的に、官庁がある程度以上の金額を支出するときには、3つの方法で調達先(モノを購入したり、工事などを発注する先)を決めることになっています。

・一般競争入札:誰でも入札に参加でき、原則的に一番安い価格を入札した人を落札者として、調達先とする。

・指名競争入札:基本的には一般競争入札と同じ制度だが、官庁側が入札できる業者をあらかじめ指定する。

・随意契約:入札しないで調達先を決める。

官庁の支出は透明性をはかるため、随意契約は例外的なときだけ行い、基本的には競争入札を行うことになっています。

しかし、日本の官庁は地方自治体を含め、指名競争入札が多いのが現状です。だれでもが入札できる一般競争入札が少ないのです。

指名業者が固定されてしまうと、彼らは競争をさけるため一種の同盟を作り、全業者が順々に受注できるよう談合を行うようになる傾向があります。

指名競争入札の多さは、日本で談合が多いひとつの原因と考えていいでしょう。これから、これについての見直し論がさかんになるものと思われます。

中央官庁の官製談合

官製談合はまさに官庁と業者の癒着の結果起きるものです。

その癒着のケースとして、特に中央官庁でよく起きたものが「天下り」を見返りにするものです。業者が天下り先になることを約束することで、官僚がその業者に有利になるようはたらきかけるというものです。

特に業者が全員ぐるになって、たくさんの官僚たちの天下り先を保障し、そのかわり自分たちの談合を黙認してもらう、というケースが目立ちました。

こういった官製談合は、防衛施設庁や旧道路公団などで明るみになり、大きな問題となりました。

地方自治体の官製談合

地方首長と官製談合
地方の場合、「天の声」を出して談合に介入する知事など首長は「選挙負担」を癒着業者に支えてもらっているというケースが目立つ。
地方自治体の場合は、少し違うケースが浮上します。

地方自治体では知事や市長といった首長が大きな権限を持っています。彼らは最終決済者であり、彼らの「天の声」は大きな力を持つことになります。首長たちがこの「天の声」を使って談合に介入するケースが目立っています。

首長たちは住民からの選挙によって選出されます。そのため、彼らには選挙費用など選挙のための負担が大きくのしかかります。

業者たちはこの負担を肩代わりする代わりに、首長に「天の声」を出してもらおうとするのです。まさに首長の「弱味」につけこむ形です。

また、首長が何回も当選する=多選によって長く自治体に君臨し、誰も首長の意向に逆らえないような背景を利用して、首長や周辺者に近づき、「天の声」を出してもらったりしようするケースも目立ちます。

最近の例でいうと、和歌山県、宮崎県のケースは前者の例、福島県のケースは後者の例ということがいえるでしょう。

談合を防止するためには

従来から刑法などに「談合罪」というものはありましたが、一連の官製談合事件を受け、今月、官製談合防止法が改正され、より重罰が課せられることとなりました。(最高刑が懲役2年から5年に)

しかし、それでも「談合を作らないしくみづくり」が必要になってくるでしょう。談合というのは密室性が高いため、刑罰の重罰化だけでは限界があるかもしれません。

先ほど述べた、「入札を原則だれでも参加できる一般競争入札にすること」を、徹底していかなければ、「談合クラブ」が幅をきかせる構造はなくならないでしょう。

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