社会ニュース/よくわかる経済

金融担当大臣、金融庁の仕事とは?

与謝野馨大臣が3つの大臣を兼務することで注目されている、経済関連の大臣ポスト。今回は、金融担当大臣(内閣府特命担当大臣・金融担当)の役割と金融庁の仕事について解説します。

執筆者:石原 敬子

文章:石原 敬子(All About「よくわかる経済」旧ガイド)
中川昭一前大臣から3つの大臣兼務で後任となった、与謝野馨金融担当大臣(内閣府特命担当大臣・金融担当)。金融担当大臣は、経済閣僚として注目されるポスト。では、金融担当大臣とはどのような役割なのでしょうか。

<INDEX>
内閣府特命担当大臣とは(1P目)
金融政策とは(1P目)
金融担当大臣の役割、金融庁の仕事とは(2P目)
全方位からお金の担当を任された兼務体制(2P目)

内閣府特命担当大臣とは

新聞記事
よく見聞きする「金融担当大臣」という職務。具体的にどのような仕事をする大臣なの?
まず、内閣府特命担当大臣とはどのような職務なのかを説明しましょう。

内閣府特命担当大臣は、内閣府に置かれる国務大臣です。2001年の中央省庁再編に伴って誕生しました。首相が担当事項を指定して任意に設置できます。特に定数は決められていませんが、「沖縄及び北方対策担当」と「金融担当」は必ず置かれることになっています。

現在の麻生内閣には、6人の特命担当大臣が置かれています。
 与謝野馨 金融、経済財政担当大臣
 鳩山邦夫 地方分権改革担当大臣
 甘利明 規制改革担当大臣
 野田聖子 科学技術政策、食品安全担当大臣
 佐藤勉 沖縄及び北方対策、防災担当大臣
 小渕優子 少子化対策、男女共同参画担当大臣
です。

特命担当大臣は、複数の官庁の管轄にまたがるような特定の重要政策の担当を任されます。過去には、個人情報保護担当大臣、産業再生機構担当大臣、国民生活担当大臣などが置かれていました。

複数の官庁を管轄することで、縦割り行政の欠点を補います。政治主導で内閣の重要政策を推進する役割を担います。

金融政策とは

通常、金融政策といった場合には、中央銀行(日本の場合は日本銀行)が経済の動きを調整するために行う政策を指します。具体的には金利の方向を決めることです。手段として政策金利の上げ下げや、市中の資金量の調節があります。

金融政策において、日本銀行の自主性は尊重されなければなりませんので、基本的には、政府が金融政策を主導することはありません。政府が思い通りの経済環境に中央銀行を誘導しないようにするためです。このことを、日銀の独立性といいます。

時々、記者会見などの場で、メディアが金融担当大臣に対して日銀の金融政策に関する意見を求める質問が出ることがあります。例えば、ゼロ金利政策についてや政策金利の上げ下げについてなどです。しかし本来は、金融担当大臣といえども、日銀の金融政策に対して公的な場で発言をするのは控えるべきことなのです。

とはいえ、政府から日銀の政策判断に圧力となりそうな発言が出ることもあります。政府による経済政策と日銀の金融政策との間に矛盾が生じないよう、政府は日銀と意思疎通を十分に図っておく必要があるからです。このバランスが難しく、マスコミを通すと政府と日銀の微妙な関係を崩す不適切な報道になっているのをよく見聞きします。

改めて、政府の範囲内で行う金融行政とは、どのようなものなのでしょうか。次のページで、金融庁の仕事と金融担当大臣の役割を簡単に解説します。
  • 1
  • 2
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます