2ページ目 【司法でも解決できない争いがある?】
3ページ目 【司法を担う裁判所のしくみとは?】
【司法を担う裁判所のしくみとは?】
民衆訴訟って何?
自分には何にも法的な利益・被害といった「具体的事件」が存在しなくても、行政を正すため訴訟を起こすことのできる例外的惺度が「民衆訴訟」。 |
これは、行政事件において認められています。「具体的事件がないと訴えることができない」という司法の原則の例外と考えられています。
行政事件訴訟法 第5条
この法律において「民衆訴訟」とは、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいう。
つまり民衆訴訟とは、個人の権利侵害を救済するための訴訟ではなく、行政をしっかり正すために、有権者たちに起こすことが認められている訴訟をいうのですね。
しかしこの民衆訴訟は、なんでもかんでもできるわけではありません。行政事件訴訟法によって、法律で定められたもの、と限定されています。
具体的には選挙の結果に関する訴訟(公職選挙法)や地方自治での直接請求に関する訴訟、監査に関する住民訴訟(地方自治法)などが認められています。
国政選挙が著しい定数格差状態で行われたため違憲・無効であるという訴訟がよく起こされていますが、この訴訟はこれに基づいて起こされています。したがって裁判所もしっかり審査して判決を出しています。
最高裁判所のしくみ
日本の最高裁判所。すべての事件の最終判断を下す日本で唯一の「終審裁判所」。 |
最高裁判所が日本の裁判所の頂点であることはみなさんご存知でしょう。ここで下された判決や決定は確定し、原則として変更されることはありません(例外として、刑事事件での再審制度)。
このようなことを難しい言葉で言うと、最高裁判所は日本の「終審裁判所」である、というふうにいいます。
最高裁判所の裁判官は15名。このうち長官は内閣の指名に基づいて天皇が任命し、その他の裁判官は内閣が任命します。
実際には、最高裁判所の意向に添う形で内閣が人事を決定しているとされています。また、職業裁判官出身6名、弁護士出身4名、検察官出身2名、その他(官僚・大使経験者・学者など)出身3名という枠が慣習的に決められています。
下級裁判所とは?
憲法には、裁判所として最高裁判所の他に下級裁判所を置くことが規定されています。下級裁判所は、法律によってその種類などを決めることとされています。実際には裁判所法という法律によって4つの裁判所、つまり高等・地方・家庭・簡易裁判所が置かれています。
下級裁判所の裁判官は最高裁判所の指名した名簿に基づいて内閣が任命します。「下級裁判所裁判官指名諮問委員会」というものが置かれていて、この諮問に基づき最高裁が指名をしています。
下級裁判所の裁判官は10年という任期があります。もちろん再任命(再任)されることが普通です。しかし、まれに再任されないことがあり、過去それが問題となったこともありました。
原則的に第一審裁判所になるのが地方裁判所です。ただし、選挙訴訟や内乱罪など第一審が高等裁判所になるものがあります。
家庭裁判所は家庭審判や少年審判など、主に裁判以外の司法を取り扱う裁判所ですが、少年の福祉を害する行為については裁判を行います。
簡易裁判所は140万円未満の請求額で争われる民事裁判、罰金刑以下の軽い刑事罰を下す裁判を行います。60万円以下の請求額の場合は、1回の審理のみで判決を下す「少額訴訟」制度が設けられています。
さて、次回の「政治の超基礎講座」では、ここでもちょっとお話した、裁判官という人たちについてもう少しお話していきましょう。
★さらに詳しく司法について知りたい人は「裁判・司法制度改革」を見てみましょう!
※「司法っていったい、なんだろう」についての参考書籍・資料はこちらをごらんください。
▼こちらもご参照下さい。
大人のための教科書 政治の超基礎講座
●「政治の基礎知識・基礎用語」 政治の基礎的な知識はこちらでチェック!