セーフティネットと自立支援のバランスを
生活費を与えるだけでは表面的な保護。経済的な自立を助ける施策が求められる |
充実するあまりに過保護なセーフティネットは、個人の自立の妨げになることにも注意が必要です。
2006年にノーベル平和賞を受賞した、バングラディシュのグラミン銀行と創設者のムハマド・ユヌス氏の「マイクロクレジット」。これは「信用を貸すことが基本的人権」という考えに基づく、貧困層に対する無担保での融資のことです。単に資金を貸すのではなく、返済を求めることで就業意欲を引き出し自助努力を助け、経済貢献につなげます。
ユヌス氏によると、無償で資金を受取った側の立場は、資金を提供する側より下になってしまうとのこと。資金を借り、返済のために稼ぐ力を身につけた人々には、「自分の力でやれる、稼げる」という実感が活力になるのです。
健全な働く意欲は、どれだけ本人の将来の可能性を広げることになるでしょう。向上心を持った仕事の成果は、どれだけの企業への貢献となることでしょうか。ただ働く場を提供する、資金を援助する、というセーフティネットが長期に続くのは、むしろ弊害を生むことにもなりかねません。労働者の自立を促す、意欲を引き出す施策が求められるのではないでしょうか。
もちろん、労働者いいえ国民の1人ひとりが、自分のセーフティネットを準備することが一番重要です。自分の生活上のリスクを想定し、万が一その危機が起こったらどうするか、生活面や資金面での対処方法を日常的に考えておく必要があるのは言うまでもありません。そのために、ライフプランを立てることは有効な手段といえるでしょう。
【関連サイト】
・『経済キーワード【ワークシェアリング】』
・『忍び寄る雇用不安は本物か?』
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