過去のIMF支援の例
米国のサブプライムローン問題が火をつけた世界の金融危機、いよいよIMFが火消しに |
1995年、メキシコが資本収支危機に直面、IMFから180億ドルの支援を受けました。
1997年にタイで発生した金融危機が、その後98年に東南アジア諸国に波及しました。この際、金融安定化政策と構造改革支援のためにインドネシア、韓国、タイは、3国合計で360億ドル超の支援を受けました。
そして今回、米国発のサブプライムローン問題が発端の世界的な金融危機が、金融立国ともてはやされた小さな国々を直撃しました。IMFは、アイスランド、ウクライナ、ハンガリーに対して支援を発表し、今後も情勢によっては支援すべき国があるかもしれません。
10兆円もの支援をする余裕が日本のどこに?
ところで、日本国内の景気が不安視される中、経済対策の一環だとして10兆円もの資金をIMFに融資することを、疑問に思う方も少なくないでしょう。海外の支援のために、資金を融資する余裕が日本のどこにあるのだろうか、と思われるでしょう。そのねらいは、新興国の通貨危機が他の国に飛び火しないよう、世界的な金融危機がこれ以上広まることを抑える効果が期待されるからです。
報道によれば、現在のIMFは2,000億ドル(約20兆円)程度の融資財源を持っているそう。ところが、ここにきてアイスランド、ウクライナ、ハンガリーなど次々と緊急の資金援助の要請を受け、今後の支援しだいでは資金不足が心配されます。
日本には、以前から指摘されている実は資金豊富な外貨準備があります。これをIMFに貸すことによって、国際的な金融危機の広がりに歯止めをかけようとするところです。
豊富な外貨準備といえば、少し前まで世界の金融市場を席巻していた政府系ファンド。原油価格の高騰も沈静化したとはいえ、オイルマネーによって外貨準備を膨らませた中東産油国や貿易で増やした中国などに対しても、日本はIMFへの資金融資の協力を促す考えでいるようです。
いまやグローバル化した金融市場と従来に増して連鎖的になった世界経済のためには、自国の利益だけを考えた経済政策では手が届かないということなのでしょう。
【関連サイト】
・「サミット宣言に、なぜ政府系ファンドが?」
・「IMF(国際通貨基金)