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どれがホント? 3種類ある食料自給率とは(2ページ目)

食料自給率の低下が深刻な問題になっています。直近の平成18年度ではとうとう40%を割れたとのこと。しかし、計算を変えれば68%にもなる食料自給率。いったいどういう計算なのでしょう。

執筆者:石原 敬子

外国産エサを食べた国産豚は、計算されない

畑
飼料用トウモロコシは、なんと自給率0%!
近年の日本では、畜産物が農業総生産額の約4分の1を占めています。じつは、外国産のエサを食べて育った豚肉や牛肉などは、たとえ国産でも自給率には算入されないのです。

農林水産省によると、平成18年度の豚肉のカロリーベース自給率は5%で、重量ベース自給率では52%です。豚の飼料の自給率が10%なので、重量の52%のうちの1割しか自給しているとみなされません。

言い換えれば、国産豚肉の重量は52%ですが、この内訳は国産のエサで育った分の豚肉が5%、外国のエサを食べた分が47%ということです。この47%部分は、自給率に貢献できない国産豚肉になります。

同様に、牛肉は重量ベースで自給率43%ですが、飼料自給率(27%)によってカロリー自給率は11%となります。鶏卵は重量ベースで95%の自給率でありながら、飼料自給率(10%)のためにカロリー自給率は10%となります。畜産物は高カロリーのため、エサしだいでカロリーベースの自給率を大きく動かしてしまうのです。

他にカロリー自給率の低い品目は油脂類(4%)、小麦(13%)ですから、これらの作物が国産できれば、計算上のカロリー自給率は引き上げられます。

米とイモ、和食中心で自給率引き上げ?

そこで、伝統的な日本食を食べるようになれば、食料自給率アップにつながる、などという意見が出てきます。平成17年3月に策定された政府の方針では、平成27年度にカロリーベースの総合食料自給率を45%に高める目標を掲げています。

昭和40年のカロリーベースでの総合食料自給率が73%だったことから、自給率を高めるには、昔ながらの日本の食生活に戻れば良いという声も聞かれます。しかし、現代の社会生活を考えると、米とイモを中心とした食事ばかりというのも非現実的でしょう。

消費者が日本の風土を生かした旬の食材を大切にする一方で、日本の優れた技術力で農業技術を引き上げるなど、現代版の食料自給率引き上げ方法があるのではないでしょうか。

しかし、昨今の食料自給率に絡む議論は「40%割れ」という数字が独り歩きをしている感も否めません。そもそも食や農の問題を、自給率の低さの問題にすり替えているようにも見受けられます。

食の安全は食の安全、農業政策は農業政策、食料価格の高騰は食料価格の高騰、食品廃棄は食品廃棄など、それぞれの問題はそれぞれをまず直視する必要があるでしょう。結果として、食料自給率が回復するのではないでしょうか。

次回は、食料自給率の低下問題と、これら周辺の問題の関係について見ていきたいと思います。

【関連サイト】

「どうなる? どうする? 食料問題(All About「食と健康」ガイドサイト)」

「迫る『食糧危機』! 日本はどうなる?(All About「よくわかる時事問題」ガイドサイト)」

農林水産省「食料自給率の部屋」

【関連リンク】

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