ボーナスでフトコロ温まったのは?
収入が増えても、そのぶん税金や健康保険料なども増えて、結局手取りはそれほど変わらない?! |
総世帯のうちの勤労世帯平均では、1世帯あたりでの1カ月の実収入が約48万円で前年に比べて名目で0.8%、実質で0.7%増加しています。その中身は、世帯主の収入が2年連続増加、世帯主の配偶者の収入増も貢献。
物価の上昇に収入が追いつかないというのは、どうやら勤労者世帯に限ってはそうでもなさそうです。さらに、収入を詳しく見ていきましょう。
・企業は「成果配分をボーナスで」というけれど
世帯主の収入のうち、全体的には「臨時収入・賞与」が確かに増加しています。しかし、「臨時収入・賞与」を世帯主の勤め先企業規模別に見ると、衝撃的な結果が。「臨時収入・賞与」が夏・冬ともに増加しているのは、じつは雇用者数300人以上の企業で、1~29人企業は夏マイナス、冬に大きく増加、30~299人企業は夏冬ともにマイナスだったのです。
やはり、現実は中小企業の従業員には厳しいようです。
・税金、社会保険料の増額
直接税、社会保険料などの非消費支出は約7万8千円で、名目で前年比2.5%増。その背景には、定率減税の廃止と所得税から個人住民税への税源移譲の影響がありました。社会保険料も4年ぶりに増加。これらの悩ましいところは、実収入が増加すると、税金や社会保険料が増加する点です。非消費支出は、実収入の増減による影響が大きいのです。実収入に対する非消費支出の割合は年々じわじわと負担が重くなり、総世帯のうち勤労者世帯では約16%にも上っています。
・可処分所得
非消費支出が増加傾向とはいっても、じつは可処分所得も増加しています。可処分所得とは、実収入から直接税、社会保険料などの非消費支出を差し引いた額のことで、つまりは収入の手取り額のことです。勤労者世帯の可処分所得は、約40万2千円で、前年比は名目0.5%の増加、実質0.4%で増加。
実収入の増加が非消費支出の増加を上回っていたので、単身世帯、二人以上世帯ともに年平均では増加となりました。しかし四半期別で見ると、07年の後半である7~9月期と10~12月期で可処分所得が実質で減少しているので、今後は可処分所得の減少傾向に転じるのではないでしょうか。
・エンゲル係数
22.9%で年々低下傾向。エンゲル係数とは、消費支出に占める食料費の割合です。一般的に、エンゲル係数が低いほど生活水準が高いとされています。1970年代までは30%台でしたが、90年代には25%前後に、2000年前後に23%、05年や07年は23%を切る水準になっています。
食の安全がますます重視され、今後のエンゲル係数は上昇する可能性があるかもしれません。付加価値のある高額な食材や食料品を求める風潮になると、従来と違い、エンゲル係数の低さで生活水準を測ることができなくなってくることでしょう。
・平均消費性向
平均消費性向とは、可処分所得に対する消費支出の割合のこと。総世帯のうちの勤労者世帯の平均消費性向は72.1%で、前年に比べて上昇しています。1960年代までは80%でしたが年々低下傾向にあり、98年には71.3%に低下。その後03年に74%台に戻り、近年では73%前後で横ばいになっています。
収入や支出は、年代別にすると特徴的な傾向が見られます。次のページでは、家計支出について、年代別の特徴を簡単にご紹介しましょう。