「家計調査」を読み取る際の注意点
例えば食費が増えたとして、値段の上昇によるものなのか、買いすぎたせいなのかを見分けるのが「名目と実質」 |
名目増減率…実際に支出した金額の動きを示すもの
実質増減率…消費者物価の変動分を取り除いた実質的な動きを示すもの
例えば、物価が下落している中で支出額が前年と同じであれば、その支出の金額は実質で増えているというわけです。
また、家計調査は年間の収支を1カ月平均にならしたものです。例えばボーナス月の収支など他の月に比べて突出した収入や支出がある場合も、他の月と平均しています。例えばボーナスで大きな買い物をすることもあるでしょう、これが平均化され、他の月の結果にも影響しているというわけです。
なお、支出の内訳にある「住居費」については、持家率に左右されるという点にも気をつけておかなければなりません。
住居費とは、賃貸の家賃や地代と持家などの修繕費用です。したがって、家賃の発生しない持家の家計が多ければ家賃地代の減少につながります。2007年では、調査世帯の約8割が持家。39歳未満の若い世代の持家率の上昇と、60歳以上の世帯の割合が増加していることが影響して持家率が上昇していますが、この結果、住居費が低く抑えられています。
平均値は、本当に参考になる?
しかし実際の生活に当てはめてみると、平均データのような暮らしぶりは非現実的なのではないでしょうか。その理由は、例えば世帯人数や年齢が同じであっても、その家族の生活事情や価値観が異なればライフスタイルが違うからです。それらを全部ひとまとめにした結果を、個々の家計と比較して意味があるのか疑問です。
とはいえ、家計調査のような平均データは資料として重要で、もちろん参考になります。データを使用する際には、その調査対象の世帯の家族構成や世帯主の年齢平均などが明記されていますので、これを考慮した判断が必要なのです。
そういう意味では、家計調査は自分の家計など個々の世帯の家計などと比較するにはあまり向いてなく、日本全体の家計の姿として、収入や支出、貯蓄の動向を知るための資料と考えたほうが良いでしょう。
しかし実際には「我が家のような世代・家族構成では、どのぐらいの収入・支出が標準なのか?」と質問されることは多いものです。
次のページでは、「標準的な家計」について考えてみることにします。