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ミニスカート・ブームは好景気ってホント?

よく聞く俗説に「ミニスカートが流行る年は景気が良い」と言うものがありますが、これは本当なのでしょうか?ファッショントレンドと経済成長率を追いながら検証します。

執筆者:石原 敬子

文章:石原 敬子(All About「よくわかる経済」旧ガイド)
今年のファッショントレンドは、「60年代ルック」が注目。昨年のパリコレや世界のブランドで目立つのが60年代調のミニスカートやプリント柄が特徴で、日本でもこの傾向が街で見られるようになってきたようです。

ミニスカートといえば、よく聞く俗説に「ミニスカートが流行る年は景気が良い」と言うものがありますが、いったいこれは本当なのでしょうか?過去のスカートのトレンドと経済成長率の関係を、GDP(国内総生産)成長率を使って見てみることにしましょう。

<INDEX>
1960年代、ツィッギーが日本を世界2位の経済国に押し上げた?!(1P目)
ミニスカートはオイルショックと共に消えた?!(1P目)
バブル経済はDCブランドやボディコン系、ミニスカートとは無縁?!(2P目)
不況ならスカートの丈は長いのか?!(2P目)
スカート丈と景気の関係が語られるのは、なぜ?!(3P目)

1960年代、ツィッギーが日本を世界2位の経済国に押し上げた?!

ミニスカート
今年はミニスカートがブーム?では景気は良いの?
言わずと知れた1960年代は、世界的にもミニスカートの全盛期。この頃のミニスカート・トレンドは、1961年のマリ・クワントや1965年のクレージュがパリコレでミニスカートを発表したのがきっかけといわれています。

このトレンドの波は日本にも上陸。日本でミニスカートが大流行したのは、1967年秋のスーパーモデル・ツィッギーの来日がきっかけです。翌年の1968年は、膝上30cmのスカート、マイクロミニまで登場し、ますますミニスカートがブレイクしていきました。

当時の日本は、1950年代後半から1960年代の高度経済成長期の真っただ中。1965年は、いざなぎ景気の始まった年です。日本の1965年度から1970年度までの5年間の実質GDP成長率は、なんと年率平均で10.9%。1968年には、日本のGDPが西ドイツを抜いて、資本主義国の中では米国に次ぐ世界第2位の経済規模まで上り詰めていきます。

ミニスカートはオイルショックと共に消えた?!

ところが、トレンドとは常に変化するもの。ファッションのトレンドも、経済の環境も、時とともに移り変わっていくものです。ミニスカートが下火になったのは、1973年のオイルショックの頃でした。1973年のファッション界ではジーンズが大流行、ジーパンのつぎはぎルックがブームになりました。当時のボトムスのトレンドは、フレアースカートが復活し、ロングスカートがブームに。

当時の日本の経済環境は、一気に景気のイケイケムードは鈍化していきます。1970年度から1975年度までの5年間の実質GDP成長率は、年率で4.5%成長。翌1974年の日本経済は、実質GDP成長率が-0.5%と、戦後初めてマイナス成長となってしまいました。前年のオイルショックの影響で物価は高騰し、公共料金は値上げ、消費者物価指数が4.5%上昇して「狂乱物価」と呼ばれた頃です。

それにしても、物価の上昇で布地の価格も上がったのなら、ロングスカートが復活するよりもミニスカートの方が経済的ではないかと思うのですが。スカートの丈は、物価とは無関係のようです。

本当に無関係だったのでしょうか?次のページではバブル経済の時期を見てみることにしましょう。
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