社会ニュース/よくわかる時事問題

深刻!ドル安円高で、日本企業はこうなる(2ページ目)

サブプライムローン問題の余波で、円高・原油高・株安の動きが止まらない! 中でも、円高で深刻な打撃を被る輸出産業への影響は、気になるところです。そこで、円高は日本企業の業績にどんな影響を及ぼす?

執筆者:志田 玲子

1ドル110円→105円で、業績への打撃は1.5倍に拡大!

画像の代替テキスト
企業の収益見通しが悪化すれば、春闘=賃上げにも大きくひびく?!
写真提供:フリー画像素材EyesPic
円高が各産業にもたらす影響を、第一生命経済研究所の「Economic Trends 今回の円高が企業収益に及ぼす影響」(2007年11月26日) から、探ってみると……。

まず、全産業に対する影響について、為替レートが1ドル110円で推移した場合、2008年度の営業利益(主な営業活動による利益)は、マイナス0.8%。これが105円まで高進すると、1.2%ダウン! マイナス幅は、110円の時に比べ、1.5倍に拡大します。つまり、円高が進めば進むほど利益も押し下げられ、「円高不況」なる言葉が生まれるのも納得……。

製造業が被る打撃は、全産業の5倍超!

次に、製造業への影響をウォッチング! 1ドル110円の場合、2008年度の営業利益はマイナス4.2%。これが105円になると、6.7%もダウン! マイナス幅は、上記の全産業の5倍以上に膨らみ、円高によって、製造業がいかに深刻な打撃を受けるかがわかります。日本経済の担い手である製造業が、円安で潤う「輸出頼み」の状況にあることを、改めて実感……。

産業ごとの泣き笑い、繊維製品はウハウハ!

ところで、円高が各産業の営業利益に及ぼす影響は、「一枚岩」ではありません。全体として深刻な痛手を被る製造業でも、ふたを開けてみると、大泣きの産業もあれば、逆に大笑いする産業もあり……。では、大笑いの産業とは?
■繊維製品…… 1ドル105円で推移した場合、2008年度の営業利益は、なんとプラス21.8%!
■石油・石炭製品…… 同8.9%
■パルプ・紙・木製品…… 2.2%

円高で利益が21.8%もアップする繊維製品は、まさに笑いが止まらない!というところですね。上記の産業は、いずれも利益に対する輸入比率が高く、円高→輸入価格下落=原材料コスト削減のメリットが大きい模様……。

一方、円高で大泣きするのは、どんな産業? → 次のページへ
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