1ドル110円→105円で、業績への打撃は1.5倍に拡大!
企業の収益見通しが悪化すれば、春闘=賃上げにも大きくひびく?! 写真提供:フリー画像素材EyesPic |
まず、全産業に対する影響について、為替レートが1ドル110円で推移した場合、2008年度の営業利益(主な営業活動による利益)は、マイナス0.8%。これが105円まで高進すると、1.2%ダウン! マイナス幅は、110円の時に比べ、1.5倍に拡大します。つまり、円高が進めば進むほど利益も押し下げられ、「円高不況」なる言葉が生まれるのも納得……。
製造業が被る打撃は、全産業の5倍超!
次に、製造業への影響をウォッチング! 1ドル110円の場合、2008年度の営業利益はマイナス4.2%。これが105円になると、6.7%もダウン! マイナス幅は、上記の全産業の5倍以上に膨らみ、円高によって、製造業がいかに深刻な打撃を受けるかがわかります。日本経済の担い手である製造業が、円安で潤う「輸出頼み」の状況にあることを、改めて実感……。産業ごとの泣き笑い、繊維製品はウハウハ!
ところで、円高が各産業の営業利益に及ぼす影響は、「一枚岩」ではありません。全体として深刻な痛手を被る製造業でも、ふたを開けてみると、大泣きの産業もあれば、逆に大笑いする産業もあり……。では、大笑いの産業とは?■繊維製品…… 1ドル105円で推移した場合、2008年度の営業利益は、なんとプラス21.8%!
■石油・石炭製品…… 同8.9%
■パルプ・紙・木製品…… 2.2%
円高で利益が21.8%もアップする繊維製品は、まさに笑いが止まらない!というところですね。上記の産業は、いずれも利益に対する輸入比率が高く、円高→輸入価格下落=原材料コスト削減のメリットが大きい模様……。
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