【CONTENTS】
複数国=1中央銀行は危機に対応できているのか?(1P目)
ECBの基本的業務(1P目)
意思決定機関(1)-役員会(1P目)
意思決定機関(2)-政策委員会(2P目)
意思決定機関(3)-一般委員会(2P目)
今後の運営に期待(2P目)
複数国=1中央銀行は危機に対応できているのか?
最近の金融危機の深刻化によって、1国=1中央銀行でないECBでは、緊急事態に対して迅速な対応ができないのではないか、という指摘が高まっています。ECBのような機関では、内部で各国の利害が対立するために、非常事態に思い切った行動が取りにくいというネックは存在してしまうでしょう。ECBの基本的な組織や業務を改めて確認してみます。ECBの基本的業務
ECBは統一通貨・ユーロ導入を前提として、1998年6月1日に、ドイツのフランクフルトに設立されました。その組織は、ドイツの中央銀行であるドイツ連邦銀行をモデルにしています。その基本的業務は、他国の中央銀行と同様で、以下のようなものになっています。
● 統一通貨であるユーロの発行
● ユーロ圏内の政策金利の決定
● 公開市場操作
● 加盟国の外貨準備の預託。ユーロ圏各国が保有する外貨は、ECBに預託されて、ECBが保有・運用しています。
● 各種統計の作成。
一方ECBの意思決定機関は、以下の3つから成り立っています。
意思決定機関(1)-役員会
<役員会の構成員>
役員会(Executive Board)はECBの最高意思決定機関であり、総裁、副総裁、理事4名の計6名から構成されます。それぞれの構成員は、ユーロ圏各国の全会一致で任命されます。なお、任期は各構成員によって4~8年と違っています。役員会は、総裁、副総裁、理事4名の計6名で構成される。 |
役員会は政策委員会の決定に従って金融政策を執行するのが役割であり、決定は1人1票による多数決形式によって行われます。
なお、現在のECB総裁はフランス出身のジャン・クロード・トリシェ氏で、2003年11月から総裁を務めています。もともとは銀行家で、1998年のECB設立後は5年間副総裁を務めてから、総裁に昇格しました。
→次ページ。そして残り2つの意思決定機関は?