1ページ目 【「三位一体改革」なにを一体的に改革するの】
2ページ目 【国庫支出金」「地方交付税」ってなに?】
3ページ目 【改革がうまく行けば国の政治のありかたも変わる?】

【国庫支出金」「地方交付税」ってなに?】

こちらも要チェック! 政治についての基本知識と基本用語

「三位一体改革の基礎知識2008」がアップされています。こちらもあわせてお読みいただけると現状がよくわかると思います。(2007.12.06追記)

国のコントロールがもろに出てしまう国庫支出金

まず、国庫支出金です。地方がこれをもらうためには、地方が国に「こういう事業のためにお金を出して下さい」とお願いしてもらう仕組みになっています。

国はそれは違うとかいうでしょうが、実際に予算編成時期になると大挙して地方自治体の人びとが中央官庁や政治家たちに陳情に行く。国庫支出金をもらうために、お願いをしているわけです。

中央官庁や政治家の裁量や、もっというと感情で地方の事業ができるかどうか決まってしまう。政治家の中には、「野党に議席をやったらおまえの自治体には補助金をやらん」とか公言する人もいる。

これでは、地方分権など絵に書いた餅です。地方のやりたいことが、国に決定されてしまう。国のコントロールが強く地方に働いてしまう。そうした問題があるわけです。

しかし、国庫支出金を減らしても、地方税だけでは財政が足りない。そこで、国庫支出金として国から渡すお金を、地方で税金としてとれるように、国が徴集している税金を地方が徴集するようにしようじゃないか、ということがいわれるようになったわけです。これが「税源移譲」ですね。

税源移譲、つまり税金徴集権・使用権を国から地方に移さなければ、国庫支出金はへらしたくてもへらせない。まさに「一体」なわけです。

地方交付税にはどんな問題が

地方交付税には、どのような問題があるのでしょう。

よくいわれることは、「地方が努力しなくなる」ということです。本来、地方自治の原則からいうと、過疎なら過疎で、税金が足りないなら足りないなりに、なにか地方が努力しなければならない。

しかし、地方交付税という形で自由に使える税金がやってくる。だから努力しない。これでは、強い自治体が作れないというわけです。努力する自治体は、バカを見る。いくら努力しても、努力しない自治体にもお金が同じように入ってくるわけです。

また、国の本音として、「自動的に地方にまわる特定財源をなくしたい」ということがあります。

地方交付税は、所得税・法人税・酒税の32%、消費税の29.5%、たばこ税の25%が毎年自動的に地方に与えられるしくみになっています。

このように税金の使い道が最初から決まってしまっていては、国が柔軟な財政政策を行うことができなくなる。そういった意味で、地方交付税はもうちょっと減らしてもいいのではないか、ということがいえます。

もちろん、これをやるためには、国庫支出金のところでも説明した「税源移譲」が欠かせません。単に地方交付税を減らしただけでは、地方は困ってしまいますから。

三位一体がうまく行かないことと官庁の縄張り合戦

というわけで、構造改革の目玉の一つとして、三位一体改革が行われているわけですが、なかなか上手くいきません。

まず、国庫支出金を与える権限を持つ各中央官庁が反対します。道路だったら国土交通省、福祉政策だったら厚生労働省などが国庫支出金を与える権限を持っているわけですが、この権限を残しておきたい。地方へのコントロール権を握っておきたいからです。地方への自分たちの縄張りを保っておきたいのですね。

そして、国の税金をできるだけ減らしたくないという意味で、税金担当の財務省が税源移譲に消極的です。国税がなくなれば、財務省の権限が、それだけなくなってしまうからです。税制の縄張りを、今のまま保っておきたいのです。

さらに、地方交付税にも、大きな問題がありそうです。